2016.07.16

瓦土塀

社寺建築の外回りには土塀が施工されている事が多いですね。
土塀にも色々な種類がありますけど、土と瓦が交互に折り重なる意匠性に優れたモノを見かけた事はあるかと思います。
その意匠性に優れた土塀こそ、 【 瓦土塀 】 であります。

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瓦土塀 は “ 瓦積み式 土塀 ” が略されたようです。
文字通り、瓦が何層にも積み重なっている土塀なのですよ。
瓦を挟み込む理由は意匠性の他、 耐久性を得る為 でしょう。
廃材の瓦を再利用するなんて、いかに昔の人が物を大事にしていたか良く分かりますよね。

全国各地で見る事が出来る 瓦土塀 でありますが、一番有名なのが 《 信長塀 》 ではないでしょうか。

戦国時代に今川義元率いる大軍が終わりへ攻め込んだ時、迎え撃つ織田信長は出陣前に熱田神宮で必勝祈願をしました。
桶狭間の戦いで歴史的大勝利を納めた信長は熱田神宮へお礼として瓦土塀を奉納したのです。
それが現在、日本三大土塀の一つとされる 《 信長塀 》 なのですよ。
信長塀の強固で重量感のある雰囲気は何百年経った今でも、いや、何百年経った今だからこそ醸し出されるオーラが感じられます。
名古屋に立ち寄った際は、ぜひ熱田神宮の 《 信長塀 》 をご覧になってください。

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瓦土塀は瓦が水平に積み重なったモノが多いですが、中には面白い積み方がされたモノもありますので、神社やお寺へ行かれた時はチェックしてみてください。
もしかして珍しい瓦土塀の発見があるかもしれません。
面白そうな瓦土塀があったら、私にも写真を見せてくださいね。
意匠的センスに優れた瓦土塀を見ると私もワクワクしてしまいます。

古いけど格好良い 【 瓦土塀 】 を現代でも施工する機会がれば、私もぜひ挑戦してみたいですね。


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2016.01.31

左官の仕事~ 三和土

現在は床の総称として土間と呼ばれる事が多いですが、土間の本来の意味は 《 屋内で板などの床材を敷かず、地面の土を叩き締めた場所 》 の事を指します。
それは土のある間の事を土間、つまり 【 三和土 】 が施工されていた場所の事を土間と呼んでいたのですよ。

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三和土と書いてタタキと読みますが、その施工法は土を何度も叩き締めて突き固めます。
そうする事によって強度が増し、生活する上で必要な 堅い土間 となるのですよ。
なぜ三和土と書くのかというと、下記の三種類を練り合わせた材料をタコと呼ばれる道具で叩き締めて、その三種類の材料が化学反応によって硬化するからです。
三和土に使う三種類の材料は 《土》《苦汁》《石灰》 という説と、 《土》《苦汁 or 石灰》と《水》 という説があります。
どちらの説を信じるかは自己責任でお願いしますね。

現在はコンクリートの普及によって施工する機会があまりないのですが、セメントが普及していなかった昔は当たり前のように施工されていた床の仕上げでした。
手頃な材料である土を使って床を仕上げる為、昔の人が考えた理にかなった工法であります。

夏場にコンクリートを触ると火傷をしてしまうぐらい、熱を持つ事は皆さんもご存じでしょう。
ビルの周囲や屋上などは熱くてたまりませんよね。
建物の犬走りをコンクリートで露出してあると、夏場はその周囲や部屋内までとても暑く感じます。
土は必要以上に熱を吸収しないので、建物の犬走りなどをコンクリートで作らず、土のままのほうが過ごしやすそうに思えるのは私だけではないはず・・・

しかし、それでは雨天の時に泥が跳ねて建物が汚れてしまう可能性もあるので、「建物の周囲が土のままでは困る!」という気持ちも大変良く分かります。
「泥が建物に飛び跳ねるのはイヤだが、コンクリートの熱もイヤだ!」という人にお勧めなのが 【 三和土 】 です。

犬走を 三和土 で仕上げるとコンクリート仕上げよりも夏の暑さは和らぎますよ。
材料が土と苦汁なので環境にはこれ以上ないぐらい優しい素材ですし・・・
もしかしたら、犬走などをコンクリート仕上げから三和土に変更すれば、夏場の電気代に影響があるかもしれませんね。

ただし、 施工者のレベルによって耐久性は大きく変わる ので注意も必要であります。
素材が土なので良く歩く場所は段々と窪んでゆくので、その辺りにも理解がある施主でないとチョット辛いかもしれません。
しかし、それを補う良い面もいっぱいありますよ。
ようは何を求めるかだと思います。

先人達が考えた理にかなった仕上げ 【 三和土 】 が見直され、もっと多くの家で取り入れられるようになれば良いですね。

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2015.12.06

左官の仕事~ 版築

月から地球を眺めると建築物をひとつだけ見つけることができます。

それは中国にある 《 万里の長城 》 なのですよ。

この建築物の長さは6千㎞とも8千㎞とも言われており、様々な説が飛び交っているようですね。

万里の長城は秦の始皇帝が中華統一を成し遂げた後、異民族からの防衛の為に建てられたのが始まりだそうです。

その後、明の代まで長い年月を掛けて現存する万里の長城が作られました。

明の代では石とレンガで築かれておりましたが、それ以前は 両側に板を立てて、その上から土を詰め込み、杵などで突き固める工法 で作られていたそうです。

この工法こそ、 【 版築 】 の元祖なのですよ。

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(株)オオタで施工した薪ストーブ周りの版築

版築の硬化メカニズムは西洋の水硬性石灰に近いものがあります。

土だけだと強度が弱いので、 石灰や苦汁などを混入してポゾラン反応を起こさせ、強度を格段にアップさせる ようです。

日本でも外部で使われる事もありますが、その配合比は難しく職人の経験に左右されるので、手っ取り早く セメントを混入する 人もいると聞きます。

これが 「 本物の版築か? 」 と賛否両論もありますが、そこは施主や設計士に判断してもらうのが良いかもしれませんね。

版築は施工法が単純な為、世界中で見る事ができ、日本でも土塀などはこの工法で施工されている事が多いです。

近年でも愛知県常滑市にあるINAX・ライブミュージアムの 《 土・どろんこ館 》 が外壁に施工されました。

そのスケールはとてつもなく凄いですよ。


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INAX・ライブミュージアム 《 土・どろんこ館 》 で見かけた巨大な版築の壁

ここ最近は、 層によって色土を変える多色の版築が主流 となってきました。

好みによって色を変えられるので、一般受けが良いようですね。

私自身は 単色の版築のほうが、派手さはないけど土の素朴な美しさがある ので好きなのですが・・・

これは好みなので、施主や設計士次第でありますね。

本物の版築ではありませんが、版築風の仕上げとしてここ最近、人気なのが、

《 地層仕上げ 》 と 《 塗り版築 》 です。


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こちらも色々な施工法がありますが、版築のように地層をイメージさせる仕上げです。

ただし、本物の風合いには及びません。

本物が施工できる条件ならば、なるべく本物の版築をお勧めしますよ。

版築は私自身もまだまだ施工経験が少ないですが、もっと仕事に繋げていきたい仕上げのひとつであります。

これからもドンドン提案していきたいです。

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2015.11.14

左官の仕事~ 巾木ブラッシング仕上げ

建物の基礎巾木にこだわる人は多くないですよね。

コンクリート打ち放しのままで、その上に何も施工しない事も少なくありません。

左官仕上げで施工といっても 《モルタル》 か 《薄塗り補修》 で、 “金鏝仕上げ” か “刷毛引き仕上げ” といったところでしょうか。

巾木は脇役であり、施工の選択肢が非常に少ない場所と言えます。


たしかに巾木で目立つ仕上げをしてしまうと建物全体のバランスを崩しかねません。

しかし、主役(外壁や外構)を引き立てる脇役として、左官の仕上げが モルタル や 薄塗り補修 では少し寂しい気がしますよね。


そこでお勧めなのが、 【 巾木ブラッシング仕上げ 】 です。


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巾木ブラッシング仕上げ は 《洗い出し仕上げ》のように石の美しさを前面に出す仕上げではなく、 目立ちすぎず、主張しすぎず、だけど良く見たら砂利の存在感があり、さりげない風合いを醸し出す仕上げ なのですよ。

何より、建物の外観を引き立たせてくれます。


これこそ、 脇役の本当の役目 ではないでしょうか。


砂利の組み合わせ、ペーストの色を工夫すれば、オリジナルな仕上げも可能です。

また、ブラッシングの タイミング や使う道具 によっても表情が変わるので、まだまだ可能性を秘めた仕上げだと思いますよ。


「 目立たない場所こそ、こだわりたい! 」 と思われる人にはお勧めの左官仕上げであります。


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2015.09.18

左官の仕事~ 洗い出し仕上げ

床の左官仕上げと言えば、 コンクリート金鏝仕上げ や モルタル金鏝仕上げ を思い浮かべる人が多いでしょう。

しかし、これらは何処か物足りない感があるのではないでしょうか?

「土間にもこだわりたい!」と思われる人には 【 洗い出し仕上げ 】 がお勧めです。

【 洗い出し仕上げ 】 とは、 種石(玉石や砕石など)をセメントに混ぜ込み、塗り付け後にタイミングを見計らって表面を洗うという左官仕上げの工法であります。

耐用年数も長く、 “ しっかりとした施工 ” をすれば 「 軽く50年以上は持つ 」 と言われているのですよ。

この、 しっかりとした施工 というのが “ ミソ ” なんですがね・・・

最近では手間が省けるという理由で、 『 表面強度を弱めて、次の日に洗う事が出来る 』 という事をウリにした薬品を使った工法で施工される人も少なくありません。

たしかに簡単で手間が掛からず見た目は綺麗になるかもしれませんが、 《 強度を弱める 》 という事に疑問を感じております。

出来ればしっかりと手間暇掛けた 昔ながらの工法 で施工したいモノですね。

そうすれば、50年 は安心だと思います。

その為にも 《 合見積 》 や 《 価格競争 》 に巻き込まれないようにポリシーを持って打ち合わせをして、それに見合った技術も磨かねばなりませんね。

他にも、数十年前から 洗い出し仕上げ に似せた工法で、 《 樹脂舗装 》 と呼ばれる 種石を樹脂で固める工法 が流行っております。

主に建物の外構などで見かけますが、本物の 洗い出し仕上げ と比べ、耐用年数が遙かに劣るようです。

合成樹脂の寿命は セメントとは比べようもなく短く、いずれポロポロと剥がれてくる ので塗り替えをしなければなりません。

また、合成樹脂特有の 新しい時は光沢があって綺麗だが、経年と共に汚くなってゆく といった欠点があります。

このように 本物には遠く及ばない仕上げ なので、安易に手を出さないほうが良いかもしれませんね。

【 洗い出し仕上げ 】の 種石として使える石はとても多く 、 セメント部分も顔料で調色可能 なので、組み合わせ次第では和風にも洋風にもアレンジでき、新しく格好良い仕上げを開発できるかもしれません。

また、ガラスカレット(ガラスを粉砕した欠片)を種石として使った仕上げも徐々に人気が出てきました。

他にも 蓄光石(夜光石)などをポイントで使うのも良さそうですね。

また、昔の洋館などは土間や外壁だけではなく、入隅周りや窓枠周りにも 《 蛇腹の洗い出し仕上げ 》 や 《造形の洗い出し仕上げ》 が施工されている建物を見かけます。


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このような素晴らしい技術が後々まで続くよう、左官屋も色々と提案をして、尚かつアピールもしていかねばなりませんね。

昔か提案していきたいです。ら施工されている左官仕上げですが、まだまだ可能性を秘めており、それを引き出していけるように愛知県一宮市のほうでもドンドン提案していきたいです。


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2015.09.01

左官鏝の解説

10年以上前に作ったサイトです。
左官鏝を200種類以上、画像と解説を交えて紹介しております。
参考にしてやってください。


http://www.sakanya.info/

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2015.07.22

左官の仕事~ 金属左官仕上げ

金属を塗る。
まさしく言葉通り。
決して金属風のニセモノではない。
仕上がりは金属そのもの。

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塗り壁材料なので、左官職人のセンスや技術を駆使して、色んなパターン付けを出来るのが最大の特徴です。
壁だけじゃなく、指輪やフィギア等の細かいモノに塗れるのもGood!
間違いなく、これから左官工事の幅は大きく広がることでしょう。

塗り圧は1㎜以下なので、会社のロゴやマークなどを下地の段階で作ったり、木目を残したまま施工しても面白いでしょうね。
しかも大抵のモノにくっつくので、下地を選ばずに塗れる夢の建材です。
もちろん、写真以上に実物は素晴らしくてインパクトも抜群。

とりあえず、様々な金属を使って色んな模様の塗り見本を作り、愛知県と岐阜県を中心に提案しまくりますよ。
近隣の皆さん、期待していてください。


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2015.07.15

左官の仕事~ 研ぎ出し仕上げ(人研ぎ、テラゾー)

私が子供の頃、 小学校の手洗い場 や デパートの床 などは左官の工法で仕上げられておりました。

耐久性や耐水性に優れ、見た目も美しい左官仕上げでありましたが、建築業界全体が手間と工期の掛かる湿式工法を淘汰して、安値で工期の短い乾式工法へ移行していく事に・・・

乾式工法の台頭と共にピタッと施工されなくなってしまったその左官仕上げこそ、 【 研ぎ出し仕上げ 】 であります。

研ぎ出し仕上げ は、 《 人研ぎ 》 《 テラゾー 》 などとも呼ばれますが、この二つは微妙に違うのですよ。

《 人研ぎ 》 とは “ 人造石 研ぎ出し仕上げ ” の略 であります。

種石の大きさが 3~10ミリ ぐらいの石を使った仕上げを 人研ぎ と呼びます。

ちょっとした立ち上がり壁などにも施工可能なので、 小学校の手洗い場 で施工されているのはこちらの 人研ぎ ですね。

《 テラゾー 》 とは “ 現場テラゾー仕上げ ” の略で、 現テラ などと呼ばれる事もあります。

人研ぎ よりも 大きな種石を使った仕上げが テラゾー なのですよ。

種石が大きい分、高級感のある美しい仕上がりとなるので、 デパートの床 に施工されているのは主にこちらの テラゾー である事が多いです。

研ぎ出し仕上げ は 耐久性、特に耐摩耗性に優れ、耐水性も抜群で、意匠性も無限に組み合わせる事ができ、仕上がりも大変美しい左官仕上げ なのですが、欠点も幾つかあります。

まず、湿式工法なので手間が掛かるという事。

手間が掛かると言う事は工期も乾式工法と比べ、遙かに長くなります。

そして最後に埃の問題です。

施工中の粉塵は思った以上にたくさん出ますから・・・

これらに理解がない現場ならば、施工は止めておいたほうが良いでしょう。

しかし、上記の事さえクリアできるのであれば、とても素晴らしい左官仕上げだと思います。

「研ぎ出し?今時聞いた事無いなぁ~」と言う人も居られますが、種石と顔料のチョイス次第では現代風にアレンジした仕上げにもなるのですよ。

下の画像は私が制作したサンプルですが、皆さんはどれが好みでしょうか?

私はシンプルな 《さくら石(白ベース)》が好みかも・・・

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【 研ぎ出し仕上げ 】 は、まだまだ可能性を感じさせてくれる左官仕上げなので、これからも研究していきたいですね。

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2015.03.20

左官の仕事 ~ タデラクト

モロッコのマラケシュ地方近辺では、耐水性、撥水性に優れた漆喰が伝統的に施工されております。
その漆喰は元々、壺の表面を仕上げるのに使われておりました。
近年、その性能と仕上げの美しさがヨーロッパでは見直され、洗面台や浴槽などの水回りでも施工されているようです。
漆喰でありながら 水回りにも使える材料 、それが 【 タデラクト 】 なのですよ。

タデラクトの原材料である 《 マラケシュ石灰 》 は、日本でも K社 と P社 が輸入販売をされておりますが、P社のほうは責任施工体制なので、一般の人が材料だけを手に入れるのは難しいかもしれません。
マラケシュ石灰の硬化メカニズム(水硬性なのか?それとも気硬性なのか?)は、両社のサイトを見る限り全く違う事が記載されており、私としても困惑しております。
私が使った感じでは、水で練って一晩以上寝かしてから材料を使うので、おそらく気硬性の石灰だと思いますが・・・
水硬性ならば水で練った材料は、一晩置いたらカチコチに固まる筈ですよね。
私の認識が間違っていたらごめんなさい。

タデラクトの施工方法はとてもユニークで、 石を使って磨く のですよ!

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石で磨く為、日本の漆喰磨き壁のような色ムラのない綺麗な平面の壁とは違い、アバウトな色ムラと凸凹が何とも味わい深い壁となります。
また、曲面などのややこしい部分にも施工がしやすいのも良いですね。
磨き石 は何でも良いという訳ではなく、 モース硬度が7以上 の石が好ましいとの事です。

注意したいのが、耐水性、撥水性が非常にある漆喰ではありますが、 この耐水性はあくまでモロッコやヨーロッパの人達の感覚なので、キッチリした日本人の考える耐水性とは少々違う可能性もあります。
特に水回りで使う時は、下地の段階でしっかりと防水処理をしておいたほうが無難かもしれませんね。
その辺りは今後も検証していきたいです。

まだまだ私も 【 タデラクト 】 は勉強不足で現場での施工に至っておりませんが、いつか挑戦してみたい左官仕上げのひとつであります。

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2014.12.01

ムチ漆喰(沖縄の漆喰)の試験施工

ここ最近、 ムチ漆喰 と 沖縄赤土 で遊んでおりました。
やはり、未知の材料と向かい合うのはドキドキしますね。lovely


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ムチ漆喰と沖縄赤土を組み合わせた 磨き壁 です。
【 琉球磨き 】 と命名しました。shine


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ムチ漆喰と沖縄赤土を組み合わせた 【 琉球式ハンダ仕上げ】 です。


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ムチ漆喰の撫で切り仕上げ(スサ勝ち)

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ムチ漆喰の撫で切り仕上げ(砂勝ち)

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ムチ漆喰のパターン仕上げ(砂勝ち)

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ムチ漆喰のひきずり仕上げ(砂勝ち)

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ムチ漆喰のゴム手仕上げ(砂勝ち)

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沖縄赤土の糊土仕上げ

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沖縄赤土の糊土仕上げ

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沖縄赤土の糊土仕上げ


ムチ漆喰は面白い!
沖縄赤土も綺麗な色ですね。
琉球磨きはクラック等の支障はなく順調ですよ。
色はオレンジ色に変化しておりますが、艶は相変わらずでピッカピカ!
露はメッチャ出てるけど、メンテナンスさえすれば大丈夫かな。happy01


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2014.07.19

左官の仕事~ ムチ漆喰

【 ムチ漆喰 】 とは琉球漆喰、沖縄漆喰と呼ばれる沖縄で独自の発展を遂げた伝統的な漆喰の事です。

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沖縄ではお祝いする日(正月、結婚式、出産など)に “ ムーチー ” と呼ばれる沖縄独特のお餅(月桃の葉に包んで蒸した餅)を近所に配ったり食べたりする習慣があります。
私の妻が沖縄出身なので、長女が生まれた時は沖縄の義母がムーチーを持参して駆けつけてくれました。

ムーチーの色は茶色味が掛かっており、本土の餅とは風味も全然違います。
ムチ漆喰は ムーチー に色や質感が大変似ている事からその名が付きました。
本土で言われている 「 色がお餅に似ている漆喰であり、モチがムチに訛って名前が付いた 」 という説には沖縄を愛する私としては真っ向から反論したい ですね。

大昔はムチ漆喰の原料として使われる消石灰を 《 珊瑚を燃やして作っていた 》 らしいのですが、現在の法律では 珊瑚を採ったり燃やしたりすると罰せられてしまいます。
その為、大昔の工法でムチ漆喰を作る事は不可能となりました。
沖縄でも石灰岩は採掘されております。
しかし、主にセメントとして加工されているらしく、ムチ漆喰の原材料としては加工されておりません。
現在では石灰は九州(大分県)で採れた石灰を送ってもらい、それを原料にムチ漆喰が作られているとの事です。

土佐漆喰と同じく、ムチ漆喰も海藻糊を混入せず、石灰に藁を混入して制作します。ふたつの違いは制作方法です。

土佐漆喰 = 消石灰 + 藁(発酵させたもの)

ムチ漆喰 = 生石灰 + 藁

つまり、藁を入れる材料が 《 消石灰 》 か 《 生石灰 》 の違いです
その為、両方とも似たような色をしておりますが、少しだけムチ漆喰のほうが色は濃いのですよ。
これは土佐漆喰に入れる藁は発酵させたものを入れる為かもしれません。

ムチ漆喰は土佐漆喰と同じく、紫外線に反応して色が薄くなっていきます。
土佐漆喰のパクリと思われるかもしれませんが、実は ムチ漆喰のほうが歴史は古い のですよ。
ムチ漆喰は13~14世紀、土佐漆喰は17~18世紀なので、ムチ漆喰のほうが500年ぐらいは歴史が古い という事になりますね。

元々、ムチ漆喰は壁を塗る漆喰と言うより、 “ 屋根瓦の継ぎ手 ” や “ 魔除けのシーサー ” 等で用いられてきました。
私自身も 《 むら咲むら 》 という体験施設で ムチ漆喰 のシーサーを2体作った事があります。
沖縄の別荘を建てる際、屋根の上に乗せる大型シーサーを作るよう義父に言われましたが、諸事情で本職のプロにお願いしました。
ちなみに下の写真は沖縄の重要文化財である  《 中村家住宅 》  のシーサーです。
沖縄の赤瓦とムチ漆喰の組み合わせも素敵ですよね。

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最近では、その優れた性能から壁にも塗られるようになり、沖縄の観光スポットである 《 アメリカンビレッジ 》 の敷地内でも大きな建物の外壁が ムチ漆喰 で仕上げられております。
その姿は大変美しく、沖縄独特の “ 赤瓦 ” とも非常にマッチした建物ですよ。
旅行で沖縄の アメリカンビレッジ に立ち寄った際には是非、 ムチ漆喰 の外壁も眺めて見てください。
きっと、感動されると思いますよ。

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沖縄独自の漆喰ですが、本土のほうにも 【 ムチ漆喰 】 の塗り壁が採用されるよう、私もいろいろ提案していきたいです。

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左官の仕事~ NHL(水硬性石灰)

漆喰の原料が 消石灰 なのは多くの人が知っているかと思います。

一般的に認識されている消石灰は、 《 気硬性 》 といって炭酸ガス(二酸化炭素)に反応して硬化していくのですよ。

水と反応して硬化する事はありません。 石灰が原料の漆喰などは、空気に触れさせねば練り置きして保管ができますよね。

しかし、ギリシャ や エジプト では紀元前の頃から、消石灰に ポゾラン(可溶性シリカ分の多い火山灰,白土,凝灰岩,ケイ藻土など) を混入させてポゾラン反応を起こし、水に反応して固まる 《 水硬性 》 の材料が用いられてきました。

これが 【 NHL 】 の始まりと言われており、その後ローマ帝国によって更に発展を遂げていきます。

近代になって セメント が開発されるまでは、西洋建築の中枢を担ってきた材料と言えるでしょう。

【 NHL 】 とは “ Natural Hydraulic Lime ” の略称、つまり 天然水硬性石灰 のこと です。

この NHL は、   最初に水と反応して初期硬化を行い、さらに長い年月を掛けながら炭酸ガスを吸って硬化し続けていく のですよ。

簡単に説明すると、   《 水硬性 》 と 《 気硬性 》 の特性を併せ持っている という事です。

塗った次の日には固まっているので、雨風の心配もそれほどしなくて済むのが利点ですね。

【 NHL 】 は耐久性に大変優れており、石灰モルタルとして厚塗りする事も出来るので、西洋では外壁にも塗られているらしいですよ。

また、吸放出性能なども通常の石灰(気硬性石灰)よりも優れているので、内部で使うのも良さそうですね。

もちろん、天然素材100%なので有害な物質(ホルムアルデヒド、アスベスト等)の心配はありません。

日本では、 NHL(水硬性石灰) が輸入される前にセメントが輸入されました。 セメントの普及と古来より漆喰工法が確立されていたので、日本ではNHL(水硬性石灰)は定着しなかったようです。

その為、私達日本人には馴染みの薄い材料ですが、その歴史は   5,000年以上 と大変古く、ヨーロッパのほうでは歴史の深い建築材料なのですよ。

最近の西洋建築を模倣した住宅では、外壁に 樹脂製品(ジョ○パット、ベ○アート等) が多く塗られております。

しかし、これらはヨーロッパ等で見られる本物の塗り壁とは風合いが全然違いますよね。

また、これらの新建材と比べ、 NHL の耐久性は歴史が実績を証明してくれております。

欠点は 値段が高い ことですが、その耐久性は素晴らしく、長い目で見れば樹脂製品よりも遙かにお得ですよ。

まだまだ日本では馴染みが薄い材料ではありますが、機能的にも優れている NHL がもっと日本で普及していけば良いですね。

その為にも私達左官屋が 【 NHL 】 を研究し、提案し続けなければ・・・


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2014.03.14

左官の仕事~ 土佐漆喰

日本各地で漆喰工法は微妙に違いますが、台風の影響を受け続けてきた土佐では漆喰も独特の進化を遂げていきました。
土佐独自の漆喰を 海鼠壁 や 鎧壁 といった工法と組み合わせる事によって、耐久性がさらに上がり雨風に非常に強い外壁となります。
そんな雨風に非常に強い漆喰 【 土佐漆喰 】 は今や、全国各地で塗られているとってもスペシャルな漆喰なのですよ!


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台風にも負けない漆喰を作る為に先人達が考えたのは、硬化途中で雨水が掛かった時に雨水に溶けやすい海藻糊を使うのではなく、藁を発酵すると滲出される糖類の一種・ 《 リグニン 》 という成分を海藻糊の代わりに使う事でした。
この リグニン が消石灰と反応して、土佐漆喰独特の色合い(ベージュ)となります。
ベージュの色合いが良いからと言って土佐漆喰を選んでも、この色合いは紫外線と反応して段々と薄くなり、 約10年掛けて白くなる ので気を付けてくださいね。
とは言っても、普通の漆喰のような目映い真っ白ではなく、目に優しい白となります。
ちなみに日の当たる場所と当たらない場所では色の抜け方も変わるので、同じ建物でも南面と北面では色の抜け方が違うといったケースもあるみたいです。
その辺りも説明しておいたほうが良いかもしれませんね。

土佐漆喰の歴史は以外と新しく、幕末から明治にかけて完成した漆喰と伝えられております。
そもそも土佐漆喰とは 3ヶ月以上発酵させた稲ワラと消石灰を合わせ、水で混練し、1ヶ月以上熟成させた漆喰 なのですよ。
一般的な漆喰、本漆喰との大きな違いは、発酵した藁から溶け出した成分(リグニン)が糊の代わりに保水をしてくれるので海藻糊を入れる必要がありません。
そして、高知県で古くから生産されてきた “ 土佐灰 ” という 《 塩焼き消石灰 》 を使用します。

《 塩焼き消石灰 》 とは、 コークスか石炭に塩を加えて人力で手間暇掛けて焼いた作った消石灰の事 です。
粒子が不均一なので漆喰を作るには最適だと言われております。
ちなみに工業製品である 《 油焼き消石灰 》は重油を炊いて大量生産されたモノで、漆喰を作るには向かないと言われております。
現場で塗られている “ 既調合漆喰 ” や “ 炊き糊漆喰 ” にどんな消石灰が使われているか、左官屋さんから聞いてみるのも面白いかもしれませんね。

話がズレましたが、 《 土佐灰(塩焼き消石灰) + 発酵した藁 》 を混ぜて熟成させたモノが 【 土佐漆喰 】 という事です。
自分で作る事も不可能ではないのですが、材料の制作に何ヶ月も費 やすのはなかなか難しく、土佐漆喰を専門に作る職人に分けていただく事のほうが圧倒的に多みたいですね。
実際、自己調合で土佐漆喰を作られている左官屋さんの噂はなかなか耳にしません。
土佐漆喰を作ってくれる職人に自分の要望を出し、独自の配合で制作してもらうほうが現実的なのでしょうね。

製品自体は必ず練られた状態なので、 粉体の土佐漆喰というモノは存在しない と言う事も覚えておいてください。
土佐漆喰と袋に記載されている粉体の漆喰(既調合品)なんて不届きな製品まであるので・・・
まぁ、土佐灰(土佐の消石灰) を使った漆喰という意味では、あながち間違いではないのかもしれませんが、紛らわしいですよね。

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土佐漆喰の仕上げ方法は 《 硬押さえ 》 、 《 磨き 》 が多いみたいですね。
特に 土佐漆喰の磨き仕上げは、通常の漆喰 磨き(海藻糊の入った漆喰)よりもピカピカとなり、表面も非常に硬いのですよ。

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通常の漆喰よりも強くてたくましい 【 土佐漆喰 】 は現在、とても注目されている塗り壁のひとつであり、もっともっと世間一般に浸透していく事を願っております。

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2014.01.18

左官の仕事~ 半田 撫で切り仕上げ

半田(ハンダ)とは、もともと 《 土佐漆喰 》 を施工する際に中塗りの行程として塗られていた材料(漆喰と土の割合が五分五分程度のモノ)の事 です。
これを仕上げとして漆喰に色土を配合した塗り壁 【 半田 撫で切り仕上げ 】 が各地へ広まっていきました。
土壁のような 優しい表情 と 土壁よりも 表面強度がある という事を併せ持っているのが特徴であります。


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漆喰と土を混ぜた仕上げに 《 大津壁 》 や 《 土入り漆喰 》 等がありますが、その違いは石灰の割合だと思ってください。
《 大津壁 》 とは、土壁に石灰を少し混入した材料を硬押さえした壁で、 《 土入り漆喰 》 は逆に漆喰に少量の色土で着色した材料を硬押さえした壁の事です。
【 半田 撫で切り仕上げ 】 は “ 土壁 ” と “ 漆喰 ” をだいたい半々にした材料 を塗り付け、追っかけで撫で上げる仕上げなので、鏝押さえの仕上げと違って “ やんわり ” とした表情 をしております。

土壁の欠点は表面強度が柔らかいという事ですが、この 半田 撫で切り仕上げ ならば 表面が土壁よりも堅くて一般住宅の日常生活にも耐えられる耐久性がある と私は思います。
もちろん自然素材なので、悪意を持ってほじくればボロボロになってしまいますが・・・
あくまでも塗り壁なので、クロスのように汚れに強い訳でもなく、 自然素材や塗り壁に理解の無い人ではこの仕上げを採用するのにはさすがに無理があるでしょう。

しかし、 自然素材の良さを理解して、癒しの空間を求めている人には最適な仕上げ でしょうね。
独特の “ やんわり” とした優しい表情の壁は、 癒しの空間にはもってこいの仕上げ だと思いますよ。
家に帰ると癒しの空間が待っていて、それに包まれながら就寝して翌朝を迎えるなんて贅沢ですね。
そんな優しい癒しの空間を演出する 【 半田 撫で切り仕上げ 】 ですが、以外と知らない人が多いみたいです。

もっと多くの人にこの仕上げを知ってもらい、住宅のリビングや寝室など、癒しを求める空間で多く採用されれば良いですね。

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2013.05.26

左官の仕事~ 大津壁

土に少量の石灰とスサを混ぜた材料を塗り付け、鏝で何度も押さえて表面強度を堅く仕上げる工法の事を 《 大津壁 》 といいます。

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大津壁には 【 泥大津 】 、 【 並大津 】 、 【 大津磨き 】 等のグレードがあり、特に 【 大津磨き 】 は土壁・最上級仕上げのひとつに数えられます。
それぞれの仕上げを簡単に説明しますね。

【 泥大津 】 とは、 泥色をした土(田んぼの土など)に石灰を混入した材料を塗り付け、鏝で押さえた仕上げた壁 の事です。
廊下や階段など通常の土壁(撫で物、中塗り仕上げ等)よりも強度が必要とされた場所に用いられました。


【 並大津 】 とは、 色土(黄土、赤土、白土、浅黄土、黒土など)に石灰を混入した材料を塗り付け、鏝で押さえた仕上げた壁 の事です。
上記の 泥大津 よりも上級の仕上げで、色土の見た目が綺麗なので 《 ドロマイト・プラスター 》 が普及するまでは、住宅では日常的に仕上げられていた工法でした。


【 大津磨き 】 とは、 大津壁 を鏡面に仕上げた磨き壁 の事です。
その輝きはペンキ等の光沢とは違い、重厚感があって見る人を魅了する大変美しい仕上げですよ。
基本的には色土(黄土、白土など)の土そのものの色を楽しむ仕上げですが、 油煙を混入させた “ 黒大津 ” や 弁柄を混入させた “ 赤大津 ” などもあり、さらに 大津磨き をアレンジした “ 鉄壁 ” なんてモノまであります。


【鉄壁】 とは、 南部鉄のような凸凹がある大津磨き壁の事 です。
大津磨きの美しさに加え、南部鉄のような風合いが素敵な仕上げですね。
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大津壁 のルーツは滋賀県にある と言われております。
滋賀県では “ 江州白土 ” と呼ばれる良質の白土が古来より採取できました。
京都の聚楽土などは砂分が多く “ 土壁・撫で物 ” として用いられましたが、滋賀の白土は粘土質が強すぎて “ 土壁・撫で物 ” には使えず、逆に白土の強度を生かした仕上げとして重宝されるようになります。
強度のある 《 大津壁 》 は瞬く間に全国に広がり、住宅等では当たり前のように施工されておりましたが、時代と共に徐々に施工されなくなっていきました。

しかし、最近では 【 大津磨き 】 の美しさが見直され、多くの建築家が好んで採用してくれるようになってきました。
家全体を仕上げるのは予算の関係上難しいと思いますが、 床の間の奥の壁 や 玄関を開けて最初に見える壁 等でこの 【 大津磨き 】 が仕上げられていたら、それだけで家のグレードが上がった気がしませんか?

是非、家のポイントとなる壁に採用していただきたい仕上げです。


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2012.05.23

左官の仕事~ 土壁 撫で物仕上げ

和室に用いられる塗り壁は “ じゅらく ” と呼ばれており、皆さんも一度は耳にした事があると思います。
この じゅらく の名前の由来は 京都の聚楽第から採取される色土 からきております。
つまり、本物の じゅらく とは 聚楽土を使った土壁仕上げ の事なのですよ。

そして、この聚楽土を含む全国の色土を使って、鏝で撫で上げる仕上げの総称が 【 撫で物仕上げ 】 です。


撫で物仕上げにも種類があり、グレードによって単価も大きく違います。
簡単に説明させていただきますね。

《 切り返し仕上げ 》
土壁中塗りをした後、完全に乾燥させず(一日後か二日後)に水持ちが少しある状態で上塗りの材料を塗ります。
中塗り仕上げよりは大人しめだが、土と砂と藁の表情がかなり浮き出ていて表情豊かな仕上げです。
名前の由来は、仕上げに混入するワラスサを何度も切り返して使うからという説 と 本来の行程を切り返したまま省いてしまった仕上げという説 の二通りがあります。
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《 糊捏ね仕上げ 》
角叉など(他に銀杏草、布海苔)を炊いて抽出した糊の中に色土と微塵スサ(ワラスサの細かいモノ)、微塵砂などを混入した材料を薄塗りで仕上げる工法。
薄塗りなので表情はかなり大人しい。
薄塗りで作業性も良いが、糊が入っている為に耐用年数は短い。
糊が入っているので外部では使えず、内壁専門の仕上げです。
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《 糊差し仕上げ 》
後述の水捏ね仕上げの材料に海藻糊の溶液を少しだけ足した材料を使った仕上げ。
水捏ね仕上げに近い表情が出るらしい。
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《 水捏ね仕上げ 》
糊を一切入れず、土と微塵砂と微塵スサ、そして水だけで作った材料で撫で上げた土壁最高級の仕上げ。
主に数寄屋、茶室、高級料亭などで施工され、その上品で繊細な表情は風格さえも漂わせている。
仕上げに使う鏝も大変高価な鏝で、現在ではそれを作れる鏝鍛冶も日本で数少ない。
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《 長スサ散らし 》
水捏ね、糊捏ねを塗り付けた直後に長い藁スサを壁に投げ付け、撫で上げる仕上げ。
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《 引き摺り仕上げ 》
舟形の特殊な形状の鏝を使い、パターンを付ける仕上げ。
主に数寄屋、茶室などで仕上げられている。
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《 砂壁 》
藁スサを少な目にして、砂を多くした材料を塗り付け、撫で上げた仕上げ。
砂勝ちとも呼ぶ。
反対に藁スサが多い仕上げをスサ勝ちと呼ぶ。
現在では、樹脂で砂を固めた材料の事を指す場合が多い。
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《 蛍壁 》
錆壁とも言う。
鉄錆を土壁に混入する事によって、後々に錆が出てきて、それが蛍火のような表情を出す事からこの名が付いた。
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《 本聚楽 》
京都の聚楽第で採取された本聚楽土を使用した水捏ね仕上げ、もしくは糊捏ね仕上げの総称。
本聚楽という名が付いた商品、メーカー製の既調合品はこれを似せた仕上げで、本物ではない。
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以上が主な 【 土壁 撫で物仕上げ 】 の説明です。

土壁・撫で物仕上げは既調合製品(ジュラク)と比べると土の表情が豊かで暖かみがあります。
本物の土を使って仕上げているからでしょう。
樹脂が多く入っている既調合製品(ジュラク)では安らぎはあまり感じられません。
ニセモノは所詮ニセモノなのですよね。

土壁に囲まれた空間に居るだけで心が休まります。
それはきっと、 土=大地 であり、人間のDNAが大地に包まれていたいと本能的に感じているからではないでしょうか。
だから土壁は人の心に安らぎを与えてくれるのだと思います。

家とは自身が休む場所であり、その休む場所が大地(土)に囲まれた空間なんて贅沢ですよね。
だけど、そんな贅沢を昔の日本人は当たり前のように取り入れてきました。
何故、心休まる素材を放棄するのか私には理解できませんが、土を塗る事は少なくなってきました。

心が安らぐ空間作りを求めるならば、素材は大変重要かと思います。
大地の源である土ならば素材として申し分ないはず。

もっともっと土壁が見直されれば良いですね。

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2012.05.14

左官の仕事~ 中塗り仕上げ

建築の原点は 《 土 》 から始まったと言っても過言ではないでしょう。

何故、 《 土 》 なのでしょうか?

それはどこにでもあり、一番簡単に手に入ったからだと思います。

しかし、この手頃な 《 土 》 は 防火 、 断熱 、 蓄熱 、 遮音 、 調湿 、等々を兼ねた優秀な建材 でした。

「 土には断熱効果が期待できない! 」 と仰る人もいるでしょう。

実際、数値的なモノではグラスウールの1/10しかありません。

しかし、 土壁の家は 「 夏は涼しく、冬は暖かい 」 と間違いなく感じられます。

これはきっと、 調湿のコントロール とか 蓄熱効果 、 浄化作用 などの条件が重なる事によって、そう感じられるのだと私は考えております。

ただ単に一つの数値だけを見るのではなく、相対効果も気にしていただけたらと思います。


また、土壁は機能だけの問題じゃなく、土壁の空間に居るだけで何故かホッとするのですよね。

これは数値で示せないのですが、土壁には人を和ませる何かがあるのでしょう。

それはきっと、土そのものが生命の源である事を私達が直感的に感じているからかもしれません。

土は大地であり、命の源でもある。

だから、 優しさ と 懐かしさ を感じるのでしょうね。

体にも心にも優しい素材である土は何処でも手に入りますが、 掘る場所によって性質や色は全然違うのですよ。

場所によって茶色かったり黄色かったり、赤、白、黒、緑などなど・・・

自宅の土地に埋まっている土を掘り、それを自宅の壁に塗るなんて事も可能で、自宅の土を使った仕上げなんて素敵ですよね。

そもそも、日本の建築は 《 木と土の文化 》 です。

土を使った日本独自の工法も発展していき、全国各地で採取される色土を使った美しい建築物が伝統文化として伝えられてきました。

この土壁仕上げを施工する前に行う重要な作業のひとつに 《 中塗り 》 という工程があります。

中塗りとは基本的には仕上げの前工程を指します。

この中塗りをしっかり施工しなければ、どんなに素晴らしい仕上げをやろうとしても不可能なのですよ。

また、色々な事情で仕上げを塗らずに 《 中塗り 》 でしばらく留めておき、何十年後に仕上げ塗りをしたくなってもそれは可能であります。

昔は中塗りを施工して、軽く2~3年はそのままで、木と土の収縮がしっかり止まってから仕上げ塗りをしたモノです。

しかし、現在の工期優先な風潮の中ではなかなかそこまで我慢される人は少ないですが・・・

そういう意味では昔の建築のほうがドッシリ構えられて良かった面もありますね。

普通の中塗りとは違い、 【 中塗り仕上げ 】 とは見せる為の仕上げ壁です。

土と砂と藁の表情をバランス良く美しく魅せる為の配合が大変重要 であります。

上塗りをする事が前提の 《 中塗り 》 とは違い、 【 中塗り仕上げ 】 では土と砂は好みの大きさで篩って使い、スサの長さにもこだわりたいです。

仕上げとして見せる壁なのに普通の 《 中塗り 》 と同じ配合では悲しすぎますよね。

土壁の基本中の基本である 《 中塗り 》 を仕上げとして見せる 【 中塗り仕上げ 】 も簡単そうに見えて、実は奥が深い仕上げですよ。

何年後、何十年後にどんな仕上げをするかワクワクしながら構想を練って、いつか来るであろうその時を待つのも良いかもしれませんね。


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2012.04.20

左官の仕事~ ドイツ壁

古い洋館の外壁でたまに見かけるのが “ モルタル掃き付け仕上げ ” 、別名 【 ドイツ壁 】 です。

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凸凹の何とも味わい深い塗り壁仕上げですが、以外と歴史が古いのですよ。
大正末期に大流行した塗り壁仕上げらしいのですが、近年では滅多に見かけない仕上げですね。私自身は施工経験がないのですが、経験者からお聞きした施工方法を簡単に説明すると以下の通りです。

《 モルタルを塗り付ける → 鏝板にモルタルを乗せる → 鏝板の上から壁に向かってササラでモルタルを掃き付ける 》

モルタルを掃き付ける際、出来るだけ面白みのある模様を作る為に手加減をしながら掃き付け量を調整するのがコツだと聞きました。掃き付ける ササラ は、竹を20センチ前後に切って、それを幅3ミリ以下で切り揃え、束ねたモノ(直径3センチ前後)を使います。


生コンクリートが普及してなかった昔は洋館を 【 ドイツ壁 】 で仕上げる場合、 《 堅瓦壁下地 》 の上に施工するケースも少なくなかったと聞きました。

《 堅瓦壁下地 》 とは 木ズリ の上に 平瓦(表面に節目があるモノ) を 麻を巻き付けた釘 で留めて、モルタルで中塗りをしたモノとの事です。
相当に頑丈な下地壁らしく、重量もあるので構造自体もかなりしっかりしたモノが必要だったのではと推測できます。

大正末期から昭和初期まで は 《 堅瓦壁下地 》 の上に 【 ドイツ壁 】 で仕上げるのが流行っていたみたいですが、現在では日本全国捜しても数カ所の古い洋館しか現存してないと言われ、実際に施工する機会が殆どない 《 堅瓦壁下地 》 は非常にレアで絶滅寸前の左官工法となっております。

時代の流れとはいえ寂しいですね。

この 《 堅瓦壁下地 》 を聞いた事がある左官屋さんは非常に少ない と思います。
実際に施工する機会はないかもしれませんが、大昔にこのような左官工法があった事を伝えていきたいモノですね。


【 ドイツ壁 】 と呼んで良いのか分かりませんが、某テーマパークの洞窟では モルタルで掃き付けた仕上げ(モルタルの吹き付け???)が施工されております。
洞窟内の荒々しい表情を見て、 まだまだ可能性を感じさせてくれる仕上げ だと感じました。

古いけど新しい仕上げ、 【 ドイツ壁 】 の可能性を引き出せるよう、私達左官屋も研究しなければなりませんね。

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2012.04.15

左官の仕事~ モルタル 掻き落とし

今回は 【 モルタル 掻き落とし 】 についてです。


【 モルタル 掻き落とし 】 は別名 “ リシン掻き落とし ” とも呼ばれる仕上げです。
施工法は、白セメントもしくは着色セメントに消石灰と骨材を混入して作った材料を塗り付け、タイミングを見計らって掻き落とし器(剣山のような道具)かワイヤーブラシを使って粗面に仕上げます。
セメントペーストの色 、 骨材の色と大きさ 、 掻き落とし方法 などによって様々な表情が出せる為、 左官屋の個性が出しやすく、施主や設計士の要望も聞く事により 世界でただ一つの壁を作る事も可能 です。

この仕上げの特徴の一つが、 経年変化を楽しめる と言う事でしょうか。
仕上げた当時は新しくて綺麗ですが、 経年と共に滲み出てくる渋味も魅力の一つ であります。
もちろん、価値観の違いでこの渋味を「 汚い! 」 と思う人も居られるかもしれませんが・・・

洋風な住宅でよく施工されている樹脂系の塗り壁材料 などは塗り立ての状態が一番綺麗ですよね。
しかし、もって数年ヘタをすれば半年で黒ズミやカビなどで汚らしい壁に・・・
この状態を見て 「味がある!」 と言える人は少ないと思います。
悲しいかな、このような工業製品の塗り壁材料は 塗り替える事を前提に作られている のかもしれませんね。

それと比べると、この 【 モルタルの掻き落とし 】 は一度施工すれば、 “当分” 塗り替えはしなくて済みそうです。
控えめに “当分” と書きましたが、私の中では 《 メンテナンスフリー 》 に限りなく近い塗り壁 だと思っております。
その為には庇の大きさ等、建物の構造も重要ではありますが・・・
外壁で施工する前には必ず下地と建具廻りの防水をしっかり処理する事が重要ですね。
しっかりとした処理をするのには、手間暇を掛けねばなりません。

左官の塗り壁全般に言える事ですが、誰もが目に付く仕上げ部分はもちろんですが、 目に付かない下地部分こそ非常に重要 なのですよ。
しっかりと手間暇掛けて作った壁は長い期間、その美しさと経年変化を楽しめるかと思います。

若い頃に建てた家の木材が経年により色が変化して美しくなってゆく。

壁の色もゆっくりと変化をしていく。

施主も年を取り、家と共に渋味を増していく。

素敵だと思いませんか?

そんな家造りにピッタリ合う仕上げが、 【 モルタルの掻き落とし 】 ではないでしょうか。
もっと多くの人達に採用してもらいたい左官仕上げのひとつであります。

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2012.04.11

左官の仕事~ 珪藻土

内装左官仕上げで今一番仕上げられている塗り壁と言えば 【 珪藻土 】 の入ったモノでしょう。

昔ながらの家造りで 《 竹木舞 + 土壁or漆喰 》 を採用されるならば調湿効果は期待できます。
しかし、現代建築では石膏ボードが多用されており、竹木舞下地の土壁、漆喰はなかなか難しいのが現状ではないでしょうか。
石膏ボードが多用される現在、調湿効果がある塗り壁材料を求めるならば、まず思いつくのが 【 珪藻土 】 かと思います。

珪藻土を使った塗り壁は数百種類とありますが、 調湿機能を大々的に謳う割りに機能的な役割を成せてないニセモノ建材 が数多く出回っておりますので気を付けてください。
本当に良い珪藻土建材とはどういったものか詳しく書いていきますので、参考になれば幸いです。

《 珪藻土には自硬性はない 》 と認識している人は多いでしょう。
自硬性がないので塗り壁を固めるには、 “ つなぎ ” が必要です。

しかし、 “ つなぎ ” に使われた 樹脂 は珪藻土の孔を塞いでしまい、本来の機能を妨げてしまう事に・・・
「繋ぎが樹脂ではダメだ!」 と言う事で、次に セメント 、 石膏 、 石灰 などに白羽の矢が立てられて、とくに石灰を使ったモノは現在でも自然素材としてまだまだ根強い人気があるみたいですね。

しかし、 “ つなぎ ” がある以上、どうしてもそれが珪藻土の孔を塞いでしまい、珪藻土本来の機能を妨げてしまいます。
また、その “つなぎ”が入る事によって、珪藻土そのものの割合も少なくなってしまうので、せっかくの調湿効果もそれでは機能をしっかりと果たせません。
そんな時に 《 自硬性のある珪藻土 》 が出現しました。

こいつには 自硬性がある為、 “ つなぎ ” は必要ありません。
その為、珪藻土の孔を塞がず抜群の機能性があります。
今後は、 「 自硬性のある珪藻土を選び、繋ぎなどが入っているモノは使わない!」 という事がこれから珪藻土製品を選ぶポイントとなるでしょう。

次に産地です。
珪藻土は全国各地で採取できますが、様々な種類があるのですよ。
産地によって珪藻土の特性も違います。
例えば、濾過材に向く珪藻土(秋田産)、七輪に向く珪藻土(石川産)などなど・・・
珪藻土なら何でも良いという訳ではありません。
塗り壁で珪藻土に求めるモノはやっぱり 《調湿性能》 ですよね。

北海道の一部分でのみで採取される珪藻土には後で説明する 《メソポア珪藻土》 が多く含まれ、それ以外の産地で採取される珪藻土には 《マクロポア珪藻土》 が多く含まれています。
後に詳しく説明しますが、 《マクロポア珪藻土》 では、調湿効果が期待できません。
塗り壁に使う珪藻土は 北海道産の 《 メソポア珪藻土 》 が多く含まれている製品を選びたい ですね。-

珪藻土の孔の大きさである 《ポア》 も非常に重要です。
ポア(珪藻土の孔の大きさ)によって、珪藻土の性能は決まると言っても過言ではありません。
一般的にポアを測るのにナノという単位が使われております。
ナノとは ナノメートル《 百万分の一ミリ 》 の大きさの事です。
直径2ナノメートル以下を 《 ミクロポア 》 、直径2~50ナノメートルを 《 メソポア 》 、直径50ナノメートル以上を 《 マクロポア 》 と呼びます。-

主な メーカー製の珪藻土塗り壁材量はこの 《マクロポア珪藻土》 が使われている事が多い です。
上記でも触れましたが、 マクロポア ではあまり調湿効果がない のですよ。
ポアが大きく、調湿効果が期待できません。
ミクロポア では逆にポアが小さすぎて、吸湿機能はあっても放湿機能がイマイチなので調湿機能があるとは呼べません。

本当の意味で 調湿効果が期待できるのは 《 メソポア珪藻土 》 のみ であります。
珪藻土の塗り壁材を選ぶ時は、 「 メソポア珪藻土が多く入ったモノを塗ってください。 」 と伝えるのが良いかもしれませんね。


そもそも 《 調湿 》 とは何でしょうか?
調湿とは 吸湿 と 放湿 をバランス良く行う事 ではないでしょうか。
つまり、 湿気がある時は吸湿してくれて、乾燥が過ぎる時は放湿してくれる事 だと思います。
数値で説明すると、人間が快適に感じる湿度は 40%~70% です。

例えば、 相対湿度が90%の時はより多く吸湿してくれて、50%近くなると吸湿はあまりせず、40%を切ったら放湿をしてバランスを取ってくれる 《調湿効果》 のある塗り壁が理想 です。
そのような事が可能な 《メソポア珪藻土》 を多く含んだ塗り壁材料を採用したいですね。

長々と書きましたが、珪藻土を選ぶポイントは


① “つなぎ”を使わない自硬性のある珪藻土

② 調湿効果が抜群な北海道産のメソポア珪藻土

以上の2点です。
この2点は調湿にこだわるなら絶対に重要視したいですね。

形だけの自然素材、天然素材を謳っているニセモノじゃなく、 " 本当の意味での自然素材 " をを少しでも多くの人達に取り入れていただけたらと思います。


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2012.04.10

左官の仕事~ イタリア磨き

【 イタリア磨き 】 とは、イタリア 及び 周辺国 で伝統的に施工されている アンティコ・スタッコ や ベネチアート 等と呼ばれる イタリアン・スタッコ(イタリア漆喰工法) の和名 です。


イタリア国内では西洋建築に欠かせない大理石があまり多く産出しておりませんでした。
その為、イタリアでは大理石はとても高価な建材なので、その 高価な 大理石に漆喰工法で似せた工法 が開発されました。
それが、 イタリアン・スタッコ であります。
この イタリアン・スタッコ で施工した壁や柱があまりに美しく、それを聞きつけた周辺国へ伝わっていったそうです。

材料は 《石灰クリーム》 、 《大理石の粉》 、 《顔料》 などで、大理石のような美しい模様と光沢が特徴の仕上げであります。
日本でも ベネチアート 等の名称で類似品が販売されておりますが、樹脂の入った製品も少なくないので見極めて使っていきたいですね。
残念ながら、イタリア国内では現在、石灰クリームが主原料ではなく樹脂が主流みたいです。
本場イタリアでもそのような状況ですから、日本で本物のイタリアン・スタッコを施工されている現場は少ないようです。
今後、本物が見直されていけば良いですね。

施工には ヘラ か 薄手の鏝 が必要です。
仕上げを予測しながらパターンを3回に分けて塗り付け、たまに遠目からも確認しながら施工します。
3回目で塗り残しの無いように満遍なく材料を付けていき、タイミングを見計らって磨きます。何度も磨く事によって光沢が出て、美しい大理石調の壁となる事でしょう。-

この工法は簡単そうに見えてとても難しい仕上げなので、試験施工を行って仕上げを確認してから本番に臨みたいですね。

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2012.04.08

左官の仕事~ 石灰モルタル

前回、石灰クリームについて書きましたが、今回は 【 石灰モルタル 】 について書きます。

石灰モルタルとは 石灰クリーム に砂、寒水などの骨材を混ぜた塗り壁材料です。
日本で言う 砂漆喰 もある意味、 石灰モルタル だと思ってください。

エジプトにあるピラミッド や ヨーロッパの外壁 などで古くから使われてきた大変歴史のある材料です。
水硬性の材料(セメント、水硬性石灰など)が発明されるまでは、この石灰モルタルが建築に使われてきました。
最近では、西洋漆喰の既調合製品が流行っておりますが、殆どがこの石灰モルタルだと思われます。
ただし、モノによっては樹脂混入の可能性も否めません。
良く見極めてから使いたいですね。

何故、樹脂がいけないかというと、 石灰モルタルが本来持っているはずの 《 自浄作用 》 と 《 呼吸機能 》 を妨げてしまう ので、樹脂の入った材料を外壁に使えば汚れやすくなります。
その汚れ方が自然素材独特の渋味や味のある朽ちた感じではなく、ただ単に汚い汚れとなるのですよ。
ジョ○パット等を見れば良く分かると思いますが、不自然な汚れなのですよね。
だから、余計に汚く感じるのです。-

石灰モルタルの特徴としては、 《 浄化作用 》 と 《 消臭効果 》 が期待できる事の他、 《 表面強度が強く耐久性に優れている事 》 ですね。
日本の漆喰と同じく、長い時間を掛けて二酸化炭素を吸って石灰岩に戻ろうと変化していきます。
つまり、年月が経てば経つほど より強度が増す という事なのですよ。-

ただし、外壁で使うには西洋人のように良い意味での “ アバウトな感覚 ” が必要かもしれません。
石灰モルタルは強アルカリ性でカビには比較的強いのですが、それを過信し過ぎず 《 自然素材特有の侘び寂感 》 を楽しみたいですね。

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2012.04.07

左官の仕事~ 石灰クリーム

ここ数年で勢いのある塗り壁材料に西洋漆喰と呼ばれるものが挙げられます。
その原材料が 【 石灰クリーム 】 と呼ばれるモノで、日本では タナクリーム という商品名で馴染みがあると思います。
ただし、これは純粋な石灰クリームではなく、最初から使い易いようにメチルセルロース(糊)、炭酸カルシウム(骨材)、樹脂などが混入された既調合の製品です。

他にも ヨーロッパの国名の後ろに漆喰と名前が付いて販売されている殆どの製品が、この石灰クリームを主原料にした既調合の塗り壁材料だと思います。
例外は スペイン漆喰 と呼ばれる製品です。
これは粉体で販売されており、製品自体は水硬性なので 《 水硬性石灰 》 を使っているか、もしくは 《 セメント 》 が混入されているのでは? と推測されますね。

あくまで推測なので違ったらごめんなさい。


【 石灰クリーム 】 は表面強度がとても強く、鏝押さえを続けると比較的簡単に艶を出せます。
また、熟成させる(寝かせる)事によって粒子も安定し、滑らかでモチっとした材料になります。
イタリアでは最低でも2年以上は寝かせ、熟成期間により値段も大きく違うと聞きました。
何十年モノとかは大変高価で、熟成期間を重ねるとドンドン高価になっていくところは、まるでワインのようですね。
石灰クリームを自作される方も居られるようですが、熟成が短ければ 粒子が粗く安定性の悪い材料となります。
なるべく倉庫で熟成させたいのですが、なかなかそこまでは難しいかもしれませんね。

また、純粋な石灰クリームは既調合品(タナクリーム、西洋漆喰など)とは違い、自己調合をせねばならないのですが、その自己調合で作った材料は メーカーの保証などあるはずもなく、 塗った壁に対して全て自己責任となります。
逆に言えば、何が混入されているか製造過程の見えない既調合製品とは一線を画しており、自信を持って 「これは間違いなく自然素材だ! 」 と言えるような材料を作る事が出来るでしょう。

純粋な石灰クリームは日本でいえば粉末消石灰に当たる物です。
漆喰でもメーカー製の既調合があれば、自己調合で研究されている左官職人も居ますよね。
何故か、石灰クリーム系の材料はメーカー製の既調合に任せっきりで、石灰クリームそのものを研究している左官屋さんは少ない気がします。
そのような研究熱心な左官屋さんがもっと増えればよいですね。

ちなみにウチに三種類の石灰クリーム(イタリア産を2種類と国内産の特別仕様)が保管されておりますが、どれも微妙に違うのでまだまだ研究しがいのある建材であり、可能性を感じる材料の一つであります。

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2012.04.06

左官の仕事~ 漆喰 磨き

漆喰磨きとは漆喰を鏝で磨き続け、鏡面に仕上げる工法の事です。

磨き壁は白漆喰で施工されているケースが多いのですが、なかには 油煙を混入させた 黒磨き や、 弁柄を混入させた 赤磨き などがあります。
また、壁とは別に 出隅の面部分だけ白く磨く場合を、 面白(めんじろ) と呼び、 面部分だけを黒く磨く場合を 面黒(めんぐろ) と呼びます。
壁と出隅が色分け(例えば壁は黒漆喰で、出隅は白漆喰)で磨き壁を施工されている建物はとても美しく、その美しさに比例して凄い技術力と手間暇の必要な左官仕上げなのですよ。
私自身も魅了されている左官仕上げの一つであります。

磨き壁を施工する時に使う “ 磨き鏝 ” はとても硬度のある鏝で、制作するには途方もない手間と技術が必要である事を聞きました。
その為、磨き鏝を作る事が出来る鏝鍛冶は全国で数少ないのですよ。
今後の後継者不足も気になりますね。-

漆喰磨きは表面強度がとても強く、風雨にも強いので外壁(庇がある壁)に用いられてきました。
伝統的な建物に施工されている仕上げ方法で、全国各地の文化財なので見る事が出来ます。
しかし、日本各地で仕上げられてきた漆喰磨きの技法は 《 秘伝 》 とされているケースが多く、残念ながら 秘伝を伝えられずに技法が消えていったケースも少なくない と聞きました。 -

「このままでは左官の技が絶滅してしまう!そんな事ではイカン!」 と立ち上がってくれたのが左官界のカリスマ・久住章さんです。
久住さんは自身の知識を惜しげもなく披露して、さらに情報交換の出来る場も積極的に参加されている素晴らしい人なのですよ。
彼に影響を受けた左官屋さんは数え切れないほどいると思います。-

毎年、漆喰黒磨き講習会が全国各地で催されておりますが、まだまだ進化しています。
どんどんレベルも高くなっており、私自身も置いて行かれないようにしなければなりませんね。

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2012.04.05

左官の仕事~ 漆喰 撫で切り仕上げ と パターン仕上げ

漆喰で一番スタンダードな仕上げは硬押さえですが、最近はシンプルな 《撫で切り仕上げ》 、お洒落な 《パターン仕上げ》 も人気がありますね。
私自身もたまに施工しております。

《撫で切り仕上げ》とは塗り付け後、水持ちが良い状態の時に鏝を通して仕上げる事です。
また、《パターン仕上げ》とは文字通り、パターン付け(模様付け)をする仕上げでの事であります。

《撫で切り仕上げ》 や 《パターン仕上げ》に関しては古くから存在しており、かの有名な 桂離宮 では 【 パラリ壁 】 という仕上げが施工されております。
また、引き摺り鏝という舟形の鏝を使用して、 【 引き摺り仕上げ 】 という仕上げ方法も伝統のある仕上げ方である一方、 【 砂漆喰の撫で切り仕上げ 】 などもシンプルながら良く見ると表情が素敵ですね。

最近では洋風住宅も増えてきたので、それに合わせた模様付けもどんどん開発されております。
センスの良い模様は見ていても気持ちの良いモノですね。
パターン仕上げの場合は、左官職人のセンスに大きく左右されます。
施工する前に 左官屋さんとじっくり打ち合わせをして、試験施工をしてもらう のが良い仕上げをしてもらう秘訣ですよ。

パターン塗りは私自身も大好きな仕上げなのですが、気を付けなければならない点もあります。


1、外部で施工する場合は設計の段階で庇を出来るだけ大きくする。

2、凹凸があるので年月とともにカビや汚れも付き、それを 《 自然素材の風合い 》 として捉える事が出来るお客様以外には外部でパターン仕上げは施工しない。

3、漆喰は決してメンテナンスフリーではないので、いつかは塗り替えをしなければならない事をしっかり説明する。

最近は特に 「汚れない壁じゃなきゃイヤだ!」 というお客様も増えてきました。
そういったお客様には最初に サイディング や ガルバ をお勧めしたほうが無難かもしれません。
「どうしても外部に漆喰を塗ってほしい!」 と仰るお客様には、上記の事に気を付けてから施工したいですね。

パターン仕上げの凹凸が激しければ、それだけ埃が溜まりやすくなります。
内部ならば掃除をこまめにすれば大丈夫かもしれませんが、外部ならば土埃が雨の水分を吸ってカビの原因になるのですよ。

「 漆喰は強アルカリだからカビないよ!」 と仰る人もいるかもしれません。
しかし、現実には 漆喰にもカビは生えます。
それは何故でしょうか?

漆喰の主成分は消石灰です。
消石灰にはカビは生えません。
しかし、土埃と雨水があればカビが生えます。

簡単に書くと、


《 壁面に土埃が溜まる → 土埃が雨水を吸収する → カビの大好物がいっぱい → カビ発生》

という事です。
サイディングやガルバでも土埃が溜まればカビが発生する ので、パターン仕上げでカビが発生しないと言うことはありません。
庇を大きくして壁面もフラットに近い状態にすれば、ある程度はカビや汚れを防ぐ事が出来ますね。

漆喰の強アルカリ性質も過信せず、壁の寿命を出来るだけ伸ばしてやる事 を考えていけたらと思います。

以上の事を踏まえて、外部で施工する時には色々と注意する点がありますので、お客様と施工側がしっかりと話し合って決めていきたいですね。
今回、この記事を書くにあたり 「左官屋の癖に塗り壁を貶める事を書くな!」 とお叱りを受けるかもしれませんが、あまりに世間一般で 「漆喰は強アルカリだからカビない。メンテナンスフリーの塗り壁だ!」という風潮が一人歩きしている ので、歯止めも必要かなと思い書きました。


「それが自然素材。カビや汚れが付いてもそれが渋味と風合いに繋がって良いじゃないか!」 と私自身は思っておりますが、自身の価値観をお客様にゴリ押しする訳にはいきません。
だけど、古い町並みや古民家で塗られている漆喰壁を見ても 「美しい!」 と思ってしまうのは私だけではないでしょう。
そのような価値観のお客様がもっと増えて、塗り壁が広まっていってほしいと思います。

その為には私達左官屋がもっと塗り壁の良さをアピールしていかねばなりませんね。

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2012.04.04

左官の仕事~ 漆喰 硬押さえ

前回、本漆喰の材料について色々と書きましたが、今回は漆喰の一番スタンダードな仕上げ方である 【 漆喰 硬押さえ 】 について書きますね。


【 漆喰 硬押さえ 】 とは、 “ 漆喰を壁に塗り、鏝で数回押さえた 艶消しの仕上げ ” と私は認識しております。
鏝を何でも通して硬く押さえる事によって壁面の密度を上げ、 表面強度がとても強い壁 となります。-

この 【 漆喰 硬押さえ 】 はシンプルながらとても難しい仕上げなのですよ。
平面の壁なので左官の技術力が一番必要で、凸凹に塗ればムラの原因になります。
下地のコンディションも大変重要で、下塗りだからと言って凸凹に塗れば、上塗りを幾ら綺麗に塗っても乾きムラが出てしまい、それがテカりムラに繋がっていきます。
また、鏝を通すタイミングが遅れるとまたまたムラの原因に・・・
ムラを出さないようにするには、様々な条件をクリアして行かねばなりません。
この様々な条件をクリアした時にのみ、綺麗な壁が仕上がるのですよ。

さらに顔料、色土などで着色した 色漆喰 の場合は、 色ムラ にも気を付けなければなりません。
白漆喰よりもハードルが高くなります。
色漆喰を綺麗に仕上げるには本当に気を使うのですよ。

左官屋さんは道具にもこだわります。
最近は研究熱心な鏝鍛冶が開発した漆喰用の鏝も他種類にわたって出回っており、私もお気に入りの鏝が幾つかあります。
プラスチック製の鏝 を使われる左官屋さんもいますが、 艶が出やすくテカりムラの原因になります ので、基本的には使わない方が良いかもしれません。

本当に良い左官職人さんは道具もしっかり揃えているので、新規で仕事を依頼する時には道具箱の中身を見れば、ある程度の判断材料となるでしょう。
まぁ、中には私みたいに鏝マニアで 『綺麗な鏝を見るとニヤニヤしてしまう』 だけの人もいるのでご注意ください(笑
話はズレましたが、 【 漆喰 硬押さえ 】 を綺麗に仕上げるには 《 技術 、道具 、 材料 》 の三拍子が揃って始めて成り立つのです。
どれか一つでも欠けてはダメなのですよ。
技術は左官職人の腕であり、道具とは硬押さえに適した鏝であります。
そして材料も前回で話したとおり、とても重要な事ですね。

良い仕事をする為には手間暇を掛けたいですね。
その為にも、過度な価格競争に巻き込まないよう、左官職人を見守ってほしくあります。

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2012.04.03

左官の仕事~ 本漆喰(炊き糊漆喰)

今回は左官屋が大昔から扱っている塗り壁、 【 本漆喰 】 の材料について説明します。

まず、私が考える 【 本漆喰 】の定義は、 『 海藻糊を炊いて篩に掛け、その液体に消石灰と麻スサを混入した物 』 です。
つまり、 本漆喰の材料は 《 消石灰 、 麻スサ 、 海藻糊 を炊いて抽出した液体 》 の三種類だけ です。

その他の材料《炭酸カルシウム、粉末海藻糊、メチルセルロース、ガラス繊維、ナイロン繊維、合成樹脂、その他》 等々、これらが混入された物は 本漆喰とは呼べません。
メーカー製の漆喰製品(既調合品)も本漆喰ではないですね。

以上が私が考える本漆喰の定義であります。


次に本漆喰の材料である 《 消石灰、スサ(麻スサなど)、海藻糊(角叉、銀杏草、布海苔)を炊いて抽出した液体 》について説明します。
まず、一般的な粉末消石灰の作り方ですが、

《 石灰岩を焼く → 生石灰が出来上がる →少 量の水を加える → 粉末消石灰の出来上がり 》

大ざっぱに書くとこんな感じです。
“少量の水を加える”の部分を 『水のたくさん入ったプールに生石灰を投げ込む』 と粉末消石灰ではなく、ヨーロッパの漆喰 【石灰クリーム】 が出来上がります。
石灰クリームに関しては別の機会で書かせていただきますね。

漆喰の主原料である消石灰でありますが、これまた何でも良いという訳ではありません。
消石灰には 石灰岩 から作られている物と 貝殻(赤貝、帆立、牡蠣、その他) から作られた物があります。
貝殻を焼いて作る消石灰を私達は 貝灰 と呼んでおり、この貝灰を作ってくれる業者は日本全国捜しても片手で数えられるぐらいしか居ないのですよ。

また石灰岩から作られた消石灰も 重油などの燃料で作った 《油焼き消石灰》 と 昔ながらの製法で作った 《塩焼き消石灰》 があります。

《油焼き消石灰》 の特徴は、重油で石灰岩を高温で焼き上げ、自動機械を使って大量生産をした物。
粒子が細かく均一なので漆喰を作った時にクラックが出やすく、左官材料として使うには難しい。

《塩焼き消石灰》 は、石炭と少量の塩を使って石灰岩を低温で手間暇掛けてじっくりと焼き上げて作ります。
粒子が不均一なのでクラックが入りにくい強い材料を作る事が出来ます。

ついでに 《貝灰》 の特徴も書きます。

貝灰は石灰岩から作った消石灰よりも不純物が多く、粒子も不均一なので左官材料としてはとても優秀ですが、生産に大変な手間が掛かるので、値段も石灰石から作られた消石灰とは比べようもないほど高価な代物です。
後継者不足にも悩まされているみたいなので、数年後はもっとレアな材料となるかもしれません。


次にスサの説明をしますね。

本漆喰に使われる主なスサの原料は 《 マニラ、サイザル、ジュート、ケナフ 》 という植物の繊維です。
他にも 大麻、芋麻、亜麻 などが使われていたみたいですが、現在は “ ほぼ ” 入手不可能であります。

スサも原料にこだわれれば、とても強い漆喰が出来ると思います。
日本全国捜しても強いスサを作っている業者は数少ないですが・・・
安いだけの弱いスサを使えば弱い漆喰壁になりますので、工務店や建築会社は単価を抑えるのではなく、本当の意味で良い壁を作る為にも考えていただきたいです。


次は海藻糊の説明です。
漆喰に混入する海藻糊は大きく分けて 《 角叉 、 銀杏草 、 布海苔 》 の三種類です。

私の地方では主に角叉と銀杏草が多く出回っており、布海苔は滅多にお目に掛かれません。
関西のほうだと布海苔が多いと聞きました。
海藻糊に関しては地域性があるのでしょうね。

左官材料として使うには熟成も必要で、角叉や布海苔は一年、銀杏草は三年の間、倉庫で保管すれば腐食発酵して繊維が破れ、糊の成分が出やすくなる との事であります。

この海藻糊を 加熱処理した後、乾燥させて粉砕処理した物 が 《粉末海藻糊》 であります。
便利な製品ではありますが、どうしても本物の炊き糊にはかないません。
現在、この 《粉末海藻糊》 は粗悪品(ケミカルを多く混入した物)が数多く出回っておりますが、なかには良い製品もあるので扱う場合は良く見極めてから使っていきたいですね。

海藻糊の代わりにメチルセルロース(メト◎ーズ等)を使う人もいると聞きますが、 “ 化学のり ” ですから、これを使う時点で自然素材ではなくなってしまいます のでご注意を・・・

本漆喰 と 既調合の漆喰製品 とでは強度がまるで違います。
あまり単価、単価と言わずに長い目で見れば、施工単価が 少々高くてもそれだけの付加価値が 【 本漆喰 】 にある と思いますよ。

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2012.02.23

三和土風

岐阜で立て続けに4件、三和土風で玄関ポーチを仕上げました。

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タイルと比べても味があって素敵な仕上げだと思います。
これからも玄関廻りはこの三和土風の仕上げを提案していきたいです。

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2012.01.13

長良の家

岐阜市で壁と土間を施工しました。

「壁、土間ともお任せで・・・」との事で、壁は土壁で土間は三和土風で施工したのですが、我ながら綺麗な仕上げになったと思います。


壁:三河赤土の切り返し仕上げ
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土間:三和土風仕上げ
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三和土風仕上げは今後もバリエーションを増やしていくので、それと共に仕事も増えていったら良いですね。

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2011.10.10

コンクリート打ち放し補修

一宮市の建築会社『RIGHT STUFF DESIGN FACTORY』さんの事務所擁壁が経年劣化で汚くなったので、色付け補修(コンクリート打ち放し補修)とクリア塗布工事を行いました。

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ウチではこの工法を15年前から施工しております。

もしかしたら、日本で一番多くこの工法を施工している会社かもしれません。

今回は全面に色を付けるファンデーション工法で施工しましたが、実は一部分だけ色合わせをするグラデーション工法はもっと得意なんですよ。

RC打ち放し面でお困りの時は相談に乗りますよ~

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