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2012.04.20

左官の仕事~ ドイツ壁

古い洋館の外壁でたまに見かけるのが “ モルタル掃き付け仕上げ ” 、別名 【 ドイツ壁 】 です。

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凸凹の何とも味わい深い塗り壁仕上げですが、以外と歴史が古いのですよ。
大正末期に大流行した塗り壁仕上げらしいのですが、近年では滅多に見かけない仕上げですね。私自身は施工経験がないのですが、経験者からお聞きした施工方法を簡単に説明すると以下の通りです。

《 モルタルを塗り付ける → 鏝板にモルタルを乗せる → 鏝板の上から壁に向かってササラでモルタルを掃き付ける 》

モルタルを掃き付ける際、出来るだけ面白みのある模様を作る為に手加減をしながら掃き付け量を調整するのがコツだと聞きました。掃き付ける ササラ は、竹を20センチ前後に切って、それを幅3ミリ以下で切り揃え、束ねたモノ(直径3センチ前後)を使います。


生コンクリートが普及してなかった昔は洋館を 【 ドイツ壁 】 で仕上げる場合、 《 堅瓦壁下地 》 の上に施工するケースも少なくなかったと聞きました。

《 堅瓦壁下地 》 とは 木ズリ の上に 平瓦(表面に節目があるモノ) を 麻を巻き付けた釘 で留めて、モルタルで中塗りをしたモノとの事です。
相当に頑丈な下地壁らしく、重量もあるので構造自体もかなりしっかりしたモノが必要だったのではと推測できます。

大正末期から昭和初期まで は 《 堅瓦壁下地 》 の上に 【 ドイツ壁 】 で仕上げるのが流行っていたみたいですが、現在では日本全国捜しても数カ所の古い洋館しか現存してないと言われ、実際に施工する機会が殆どない 《 堅瓦壁下地 》 は非常にレアで絶滅寸前の左官工法となっております。

時代の流れとはいえ寂しいですね。

この 《 堅瓦壁下地 》 を聞いた事がある左官屋さんは非常に少ない と思います。
実際に施工する機会はないかもしれませんが、大昔にこのような左官工法があった事を伝えていきたいモノですね。


【 ドイツ壁 】 と呼んで良いのか分かりませんが、某テーマパークの洞窟では モルタルで掃き付けた仕上げ(モルタルの吹き付け???)が施工されております。
洞窟内の荒々しい表情を見て、 まだまだ可能性を感じさせてくれる仕上げ だと感じました。

古いけど新しい仕上げ、 【 ドイツ壁 】 の可能性を引き出せるよう、私達左官屋も研究しなければなりませんね。

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コメント

こんにちは。日記の 更新楽しみにしています。持っている知識をもったいぶらずに公開していただき、非常に勉強になる思いです。

つかぬことをお伺いしますが、以前研ぎ出しのサンプル板を公開されていたことがありましたよね?僕も研ぎ出しには猛烈な魅力を感じております。
現場で施工することなどまずありえませんので、近いうち趣味の延長で自宅に施工してみようかと思っています。施工法はネットや先輩などに聞いたりしてなんとなくイメージできてきたのですが、最後の最後に使用すると思われる、しゅう酸 というのがなんともわかりません。何か他に代用できるものなどありますでしょうか?そもそもどんな役割のものなんでしょうか?気が向いたらご指導頂けるとありがたいです。

投稿: ぴら | 2012.04.23 14:22

もうかれこれ6年くらい前に書き込ませて頂いた、施主のとめ吉です。
時々覗かせて頂いていますが、ドイツ壁に食いついてしまいました(*^-^)

大正か昭和初期の診療所だったといわれる建物にほれて、それをモチーフにした自宅にしましたので、壁のほとんどがドイツ壁で、アクセントとして掻き落としや洗い出しがあり、施工して頂いた左官さんにはその手間を考えても頭が下がる思いです。

うちのドイツ壁はモチーフになった診療所がくすんだピンクとも紫ともいえる微妙な色合いで、白セメントと普通のセメント、それにベンガラで色を加えて再現してくれました。
配合を替えて何個もテストパターンを作ってくれていました。

6年経って当初はまだ若い感じだった壁も、大分落ち着いてきていい感じになってきました。
本当に経年変化というか、良い意味で朽ちて行くのを楽しむ壁だなぁと思います。

時々外壁のリフォーム屋さんが営業で「塗り替えは?」と来るのですが、「この壁は補修はあっても一生塗り替えない壁ですよ」と答えています。
まあ営業さんも現代の家で、こんな壁見た事無いでしょうからねぇ。

古くなって味の出る壁に、ますます愛着がわいてきています。

全国の左官屋さんにエールを送ります。

投稿: とめ吉 | 2012.05.10 13:38

サントリー白州の貯蔵庫の外壁補修
全面ドイツ壁の為、
大変参考になりました。
後7棟ドイツ壁補修があるので、
色々ためして見ます。

投稿: 巻 | 2012.10.07 22:15

山口県周南市にある登録有形文化財「市長公舎」は大正15年に海軍燃料廠の廠長官舎として建てられました。戦後市に払い下げられ、現在は市長公舎となっております。
その洋館の壁は「ドイツ壁」といわれています。一部修復されておりますが、ほとんど当時のまま残っております。

投稿: 石田雅己 | 2017.02.22 08:34

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