カテゴリー「日本漆喰・海鼠壁(ナマコ壁)」の記事

2014.12.01

ムチ漆喰(沖縄の漆喰)の試験施工

ここ最近、 ムチ漆喰 と 沖縄赤土 で遊んでおりました。
やはり、未知の材料と向かい合うのはドキドキしますね。lovely


002
ムチ漆喰と沖縄赤土を組み合わせた 磨き壁 です。
【 琉球磨き 】 と命名しました。shine


017

019
ムチ漆喰と沖縄赤土を組み合わせた 【 琉球式ハンダ仕上げ】 です。


001
ムチ漆喰の撫で切り仕上げ(スサ勝ち)

003
ムチ漆喰の撫で切り仕上げ(砂勝ち)

005
ムチ漆喰のパターン仕上げ(砂勝ち)

007
ムチ漆喰のひきずり仕上げ(砂勝ち)

009
ムチ漆喰のゴム手仕上げ(砂勝ち)

011
沖縄赤土の糊土仕上げ

013
沖縄赤土の糊土仕上げ

015
沖縄赤土の糊土仕上げ


ムチ漆喰は面白い!
沖縄赤土も綺麗な色ですね。
琉球磨きはクラック等の支障はなく順調ですよ。
色はオレンジ色に変化しておりますが、艶は相変わらずでピッカピカ!
露はメッチャ出てるけど、メンテナンスさえすれば大丈夫かな。happy01


|

2014.07.19

左官の仕事~ ムチ漆喰

【 ムチ漆喰 】 とは琉球漆喰、沖縄漆喰と呼ばれる沖縄で独自の発展を遂げた伝統的な漆喰の事です。

012_2

沖縄ではお祝いする日(正月、結婚式、出産など)に “ ムーチー ” と呼ばれる沖縄独特のお餅(月桃の葉に包んで蒸した餅)を近所に配ったり食べたりする習慣があります。
私の妻が沖縄出身なので、長女が生まれた時は沖縄の義母がムーチーを持参して駆けつけてくれました。

ムーチーの色は茶色味が掛かっており、本土の餅とは風味も全然違います。
ムチ漆喰は ムーチー に色や質感が大変似ている事からその名が付きました。
本土で言われている 「 色がお餅に似ている漆喰であり、モチがムチに訛って名前が付いた 」 という説には沖縄を愛する私としては真っ向から反論したい ですね。

大昔はムチ漆喰の原料として使われる消石灰を 《 珊瑚を燃やして作っていた 》 らしいのですが、現在の法律では 珊瑚を採ったり燃やしたりすると罰せられてしまいます。
その為、大昔の工法でムチ漆喰を作る事は不可能となりました。
沖縄でも石灰岩は採掘されております。
しかし、主にセメントとして加工されているらしく、ムチ漆喰の原材料としては加工されておりません。
現在では石灰は九州(大分県)で採れた石灰を送ってもらい、それを原料にムチ漆喰が作られているとの事です。

土佐漆喰と同じく、ムチ漆喰も海藻糊を混入せず、石灰に藁を混入して制作します。ふたつの違いは制作方法です。

土佐漆喰 = 消石灰 + 藁(発酵させたもの)

ムチ漆喰 = 生石灰 + 藁

つまり、藁を入れる材料が 《 消石灰 》 か 《 生石灰 》 の違いです
その為、両方とも似たような色をしておりますが、少しだけムチ漆喰のほうが色は濃いのですよ。
これは土佐漆喰に入れる藁は発酵させたものを入れる為かもしれません。

ムチ漆喰は土佐漆喰と同じく、紫外線に反応して色が薄くなっていきます。
土佐漆喰のパクリと思われるかもしれませんが、実は ムチ漆喰のほうが歴史は古い のですよ。
ムチ漆喰は13~14世紀、土佐漆喰は17~18世紀なので、ムチ漆喰のほうが500年ぐらいは歴史が古い という事になりますね。

元々、ムチ漆喰は壁を塗る漆喰と言うより、 “ 屋根瓦の継ぎ手 ” や “ 魔除けのシーサー ” 等で用いられてきました。
私自身も 《 むら咲むら 》 という体験施設で ムチ漆喰 のシーサーを2体作った事があります。
沖縄の別荘を建てる際、屋根の上に乗せる大型シーサーを作るよう義父に言われましたが、諸事情で本職のプロにお願いしました。
ちなみに下の写真は沖縄の重要文化財である  《 中村家住宅 》  のシーサーです。
沖縄の赤瓦とムチ漆喰の組み合わせも素敵ですよね。

0242

最近では、その優れた性能から壁にも塗られるようになり、沖縄の観光スポットである 《 アメリカンビレッジ 》 の敷地内でも大きな建物の外壁が ムチ漆喰 で仕上げられております。
その姿は大変美しく、沖縄独特の “ 赤瓦 ” とも非常にマッチした建物ですよ。
旅行で沖縄の アメリカンビレッジ に立ち寄った際には是非、 ムチ漆喰 の外壁も眺めて見てください。
きっと、感動されると思いますよ。

015


沖縄独自の漆喰ですが、本土のほうにも 【 ムチ漆喰 】 の塗り壁が採用されるよう、私もいろいろ提案していきたいです。

| | コメント (2)

2014.03.14

左官の仕事~ 土佐漆喰

日本各地で漆喰工法は微妙に違いますが、台風の影響を受け続けてきた土佐では漆喰も独特の進化を遂げていきました。
土佐独自の漆喰を 海鼠壁 や 鎧壁 といった工法と組み合わせる事によって、耐久性がさらに上がり雨風に非常に強い外壁となります。
そんな雨風に非常に強い漆喰 【 土佐漆喰 】 は今や、全国各地で塗られているとってもスペシャルな漆喰なのですよ!


097


台風にも負けない漆喰を作る為に先人達が考えたのは、硬化途中で雨水が掛かった時に雨水に溶けやすい海藻糊を使うのではなく、藁を発酵すると滲出される糖類の一種・ 《 リグニン 》 という成分を海藻糊の代わりに使う事でした。
この リグニン が消石灰と反応して、土佐漆喰独特の色合い(ベージュ)となります。
ベージュの色合いが良いからと言って土佐漆喰を選んでも、この色合いは紫外線と反応して段々と薄くなり、 約10年掛けて白くなる ので気を付けてくださいね。
とは言っても、普通の漆喰のような目映い真っ白ではなく、目に優しい白となります。
ちなみに日の当たる場所と当たらない場所では色の抜け方も変わるので、同じ建物でも南面と北面では色の抜け方が違うといったケースもあるみたいです。
その辺りも説明しておいたほうが良いかもしれませんね。

土佐漆喰の歴史は以外と新しく、幕末から明治にかけて完成した漆喰と伝えられております。
そもそも土佐漆喰とは 3ヶ月以上発酵させた稲ワラと消石灰を合わせ、水で混練し、1ヶ月以上熟成させた漆喰 なのですよ。
一般的な漆喰、本漆喰との大きな違いは、発酵した藁から溶け出した成分(リグニン)が糊の代わりに保水をしてくれるので海藻糊を入れる必要がありません。
そして、高知県で古くから生産されてきた “ 土佐灰 ” という 《 塩焼き消石灰 》 を使用します。

《 塩焼き消石灰 》 とは、 コークスか石炭に塩を加えて人力で手間暇掛けて焼いた作った消石灰の事 です。
粒子が不均一なので漆喰を作るには最適だと言われております。
ちなみに工業製品である 《 油焼き消石灰 》は重油を炊いて大量生産されたモノで、漆喰を作るには向かないと言われております。
現場で塗られている “ 既調合漆喰 ” や “ 炊き糊漆喰 ” にどんな消石灰が使われているか、左官屋さんから聞いてみるのも面白いかもしれませんね。

話がズレましたが、 《 土佐灰(塩焼き消石灰) + 発酵した藁 》 を混ぜて熟成させたモノが 【 土佐漆喰 】 という事です。
自分で作る事も不可能ではないのですが、材料の制作に何ヶ月も費 やすのはなかなか難しく、土佐漆喰を専門に作る職人に分けていただく事のほうが圧倒的に多みたいですね。
実際、自己調合で土佐漆喰を作られている左官屋さんの噂はなかなか耳にしません。
土佐漆喰を作ってくれる職人に自分の要望を出し、独自の配合で制作してもらうほうが現実的なのでしょうね。

製品自体は必ず練られた状態なので、 粉体の土佐漆喰というモノは存在しない と言う事も覚えておいてください。
土佐漆喰と袋に記載されている粉体の漆喰(既調合品)なんて不届きな製品まであるので・・・
まぁ、土佐灰(土佐の消石灰) を使った漆喰という意味では、あながち間違いではないのかもしれませんが、紛らわしいですよね。

096

土佐漆喰の仕上げ方法は 《 硬押さえ 》 、 《 磨き 》 が多いみたいですね。
特に 土佐漆喰の磨き仕上げは、通常の漆喰 磨き(海藻糊の入った漆喰)よりもピカピカとなり、表面も非常に硬いのですよ。

094

通常の漆喰よりも強くてたくましい 【 土佐漆喰 】 は現在、とても注目されている塗り壁のひとつであり、もっともっと世間一般に浸透していく事を願っております。

| | コメント (0)

2012.04.06

左官の仕事~ 漆喰 磨き

漆喰磨きとは漆喰を鏝で磨き続け、鏡面に仕上げる工法の事です。

磨き壁は白漆喰で施工されているケースが多いのですが、なかには 油煙を混入させた 黒磨き や、 弁柄を混入させた 赤磨き などがあります。
また、壁とは別に 出隅の面部分だけ白く磨く場合を、 面白(めんじろ) と呼び、 面部分だけを黒く磨く場合を 面黒(めんぐろ) と呼びます。
壁と出隅が色分け(例えば壁は黒漆喰で、出隅は白漆喰)で磨き壁を施工されている建物はとても美しく、その美しさに比例して凄い技術力と手間暇の必要な左官仕上げなのですよ。
私自身も魅了されている左官仕上げの一つであります。

磨き壁を施工する時に使う “ 磨き鏝 ” はとても硬度のある鏝で、制作するには途方もない手間と技術が必要である事を聞きました。
その為、磨き鏝を作る事が出来る鏝鍛冶は全国で数少ないのですよ。
今後の後継者不足も気になりますね。-

漆喰磨きは表面強度がとても強く、風雨にも強いので外壁(庇がある壁)に用いられてきました。
伝統的な建物に施工されている仕上げ方法で、全国各地の文化財なので見る事が出来ます。
しかし、日本各地で仕上げられてきた漆喰磨きの技法は 《 秘伝 》 とされているケースが多く、残念ながら 秘伝を伝えられずに技法が消えていったケースも少なくない と聞きました。 -

「このままでは左官の技が絶滅してしまう!そんな事ではイカン!」 と立ち上がってくれたのが左官界のカリスマ・久住章さんです。
久住さんは自身の知識を惜しげもなく披露して、さらに情報交換の出来る場も積極的に参加されている素晴らしい人なのですよ。
彼に影響を受けた左官屋さんは数え切れないほどいると思います。-

毎年、漆喰黒磨き講習会が全国各地で催されておりますが、まだまだ進化しています。
どんどんレベルも高くなっており、私自身も置いて行かれないようにしなければなりませんね。

002


003


| | コメント (1)

2012.04.05

左官の仕事~ 漆喰 撫で切り仕上げ と パターン仕上げ

漆喰で一番スタンダードな仕上げは硬押さえですが、最近はシンプルな 《撫で切り仕上げ》 、お洒落な 《パターン仕上げ》 も人気がありますね。
私自身もたまに施工しております。

《撫で切り仕上げ》とは塗り付け後、水持ちが良い状態の時に鏝を通して仕上げる事です。
また、《パターン仕上げ》とは文字通り、パターン付け(模様付け)をする仕上げでの事であります。

《撫で切り仕上げ》 や 《パターン仕上げ》に関しては古くから存在しており、かの有名な 桂離宮 では 【 パラリ壁 】 という仕上げが施工されております。
また、引き摺り鏝という舟形の鏝を使用して、 【 引き摺り仕上げ 】 という仕上げ方法も伝統のある仕上げ方である一方、 【 砂漆喰の撫で切り仕上げ 】 などもシンプルながら良く見ると表情が素敵ですね。

最近では洋風住宅も増えてきたので、それに合わせた模様付けもどんどん開発されております。
センスの良い模様は見ていても気持ちの良いモノですね。
パターン仕上げの場合は、左官職人のセンスに大きく左右されます。
施工する前に 左官屋さんとじっくり打ち合わせをして、試験施工をしてもらう のが良い仕上げをしてもらう秘訣ですよ。

パターン塗りは私自身も大好きな仕上げなのですが、気を付けなければならない点もあります。


1、外部で施工する場合は設計の段階で庇を出来るだけ大きくする。

2、凹凸があるので年月とともにカビや汚れも付き、それを 《 自然素材の風合い 》 として捉える事が出来るお客様以外には外部でパターン仕上げは施工しない。

3、漆喰は決してメンテナンスフリーではないので、いつかは塗り替えをしなければならない事をしっかり説明する。

最近は特に 「汚れない壁じゃなきゃイヤだ!」 というお客様も増えてきました。
そういったお客様には最初に サイディング や ガルバ をお勧めしたほうが無難かもしれません。
「どうしても外部に漆喰を塗ってほしい!」 と仰るお客様には、上記の事に気を付けてから施工したいですね。

パターン仕上げの凹凸が激しければ、それだけ埃が溜まりやすくなります。
内部ならば掃除をこまめにすれば大丈夫かもしれませんが、外部ならば土埃が雨の水分を吸ってカビの原因になるのですよ。

「 漆喰は強アルカリだからカビないよ!」 と仰る人もいるかもしれません。
しかし、現実には 漆喰にもカビは生えます。
それは何故でしょうか?

漆喰の主成分は消石灰です。
消石灰にはカビは生えません。
しかし、土埃と雨水があればカビが生えます。

簡単に書くと、


《 壁面に土埃が溜まる → 土埃が雨水を吸収する → カビの大好物がいっぱい → カビ発生》

という事です。
サイディングやガルバでも土埃が溜まればカビが発生する ので、パターン仕上げでカビが発生しないと言うことはありません。
庇を大きくして壁面もフラットに近い状態にすれば、ある程度はカビや汚れを防ぐ事が出来ますね。

漆喰の強アルカリ性質も過信せず、壁の寿命を出来るだけ伸ばしてやる事 を考えていけたらと思います。

以上の事を踏まえて、外部で施工する時には色々と注意する点がありますので、お客様と施工側がしっかりと話し合って決めていきたいですね。
今回、この記事を書くにあたり 「左官屋の癖に塗り壁を貶める事を書くな!」 とお叱りを受けるかもしれませんが、あまりに世間一般で 「漆喰は強アルカリだからカビない。メンテナンスフリーの塗り壁だ!」という風潮が一人歩きしている ので、歯止めも必要かなと思い書きました。


「それが自然素材。カビや汚れが付いてもそれが渋味と風合いに繋がって良いじゃないか!」 と私自身は思っておりますが、自身の価値観をお客様にゴリ押しする訳にはいきません。
だけど、古い町並みや古民家で塗られている漆喰壁を見ても 「美しい!」 と思ってしまうのは私だけではないでしょう。
そのような価値観のお客様がもっと増えて、塗り壁が広まっていってほしいと思います。

その為には私達左官屋がもっと塗り壁の良さをアピールしていかねばなりませんね。

003


002


004


| | コメント (1)

2012.04.04

左官の仕事~ 漆喰 硬押さえ

前回、本漆喰の材料について色々と書きましたが、今回は漆喰の一番スタンダードな仕上げ方である 【 漆喰 硬押さえ 】 について書きますね。


【 漆喰 硬押さえ 】 とは、 “ 漆喰を壁に塗り、鏝で数回押さえた 艶消しの仕上げ ” と私は認識しております。
鏝を何でも通して硬く押さえる事によって壁面の密度を上げ、 表面強度がとても強い壁 となります。-

この 【 漆喰 硬押さえ 】 はシンプルながらとても難しい仕上げなのですよ。
平面の壁なので左官の技術力が一番必要で、凸凹に塗ればムラの原因になります。
下地のコンディションも大変重要で、下塗りだからと言って凸凹に塗れば、上塗りを幾ら綺麗に塗っても乾きムラが出てしまい、それがテカりムラに繋がっていきます。
また、鏝を通すタイミングが遅れるとまたまたムラの原因に・・・
ムラを出さないようにするには、様々な条件をクリアして行かねばなりません。
この様々な条件をクリアした時にのみ、綺麗な壁が仕上がるのですよ。

さらに顔料、色土などで着色した 色漆喰 の場合は、 色ムラ にも気を付けなければなりません。
白漆喰よりもハードルが高くなります。
色漆喰を綺麗に仕上げるには本当に気を使うのですよ。

左官屋さんは道具にもこだわります。
最近は研究熱心な鏝鍛冶が開発した漆喰用の鏝も他種類にわたって出回っており、私もお気に入りの鏝が幾つかあります。
プラスチック製の鏝 を使われる左官屋さんもいますが、 艶が出やすくテカりムラの原因になります ので、基本的には使わない方が良いかもしれません。

本当に良い左官職人さんは道具もしっかり揃えているので、新規で仕事を依頼する時には道具箱の中身を見れば、ある程度の判断材料となるでしょう。
まぁ、中には私みたいに鏝マニアで 『綺麗な鏝を見るとニヤニヤしてしまう』 だけの人もいるのでご注意ください(笑
話はズレましたが、 【 漆喰 硬押さえ 】 を綺麗に仕上げるには 《 技術 、道具 、 材料 》 の三拍子が揃って始めて成り立つのです。
どれか一つでも欠けてはダメなのですよ。
技術は左官職人の腕であり、道具とは硬押さえに適した鏝であります。
そして材料も前回で話したとおり、とても重要な事ですね。

良い仕事をする為には手間暇を掛けたいですね。
その為にも、過度な価格競争に巻き込まないよう、左官職人を見守ってほしくあります。

005_2


006_2


| | コメント (0)

2012.04.03

左官の仕事~ 本漆喰(炊き糊漆喰)

今回は左官屋が大昔から扱っている塗り壁、 【 本漆喰 】 の材料について説明します。

まず、私が考える 【 本漆喰 】の定義は、 『 海藻糊を炊いて篩に掛け、その液体に消石灰と麻スサを混入した物 』 です。
つまり、 本漆喰の材料は 《 消石灰 、 麻スサ 、 海藻糊 を炊いて抽出した液体 》 の三種類だけ です。

その他の材料《炭酸カルシウム、粉末海藻糊、メチルセルロース、ガラス繊維、ナイロン繊維、合成樹脂、その他》 等々、これらが混入された物は 本漆喰とは呼べません。
メーカー製の漆喰製品(既調合品)も本漆喰ではないですね。

以上が私が考える本漆喰の定義であります。


次に本漆喰の材料である 《 消石灰、スサ(麻スサなど)、海藻糊(角叉、銀杏草、布海苔)を炊いて抽出した液体 》について説明します。
まず、一般的な粉末消石灰の作り方ですが、

《 石灰岩を焼く → 生石灰が出来上がる →少 量の水を加える → 粉末消石灰の出来上がり 》

大ざっぱに書くとこんな感じです。
“少量の水を加える”の部分を 『水のたくさん入ったプールに生石灰を投げ込む』 と粉末消石灰ではなく、ヨーロッパの漆喰 【石灰クリーム】 が出来上がります。
石灰クリームに関しては別の機会で書かせていただきますね。

漆喰の主原料である消石灰でありますが、これまた何でも良いという訳ではありません。
消石灰には 石灰岩 から作られている物と 貝殻(赤貝、帆立、牡蠣、その他) から作られた物があります。
貝殻を焼いて作る消石灰を私達は 貝灰 と呼んでおり、この貝灰を作ってくれる業者は日本全国捜しても片手で数えられるぐらいしか居ないのですよ。

また石灰岩から作られた消石灰も 重油などの燃料で作った 《油焼き消石灰》 と 昔ながらの製法で作った 《塩焼き消石灰》 があります。

《油焼き消石灰》 の特徴は、重油で石灰岩を高温で焼き上げ、自動機械を使って大量生産をした物。
粒子が細かく均一なので漆喰を作った時にクラックが出やすく、左官材料として使うには難しい。

《塩焼き消石灰》 は、石炭と少量の塩を使って石灰岩を低温で手間暇掛けてじっくりと焼き上げて作ります。
粒子が不均一なのでクラックが入りにくい強い材料を作る事が出来ます。

ついでに 《貝灰》 の特徴も書きます。

貝灰は石灰岩から作った消石灰よりも不純物が多く、粒子も不均一なので左官材料としてはとても優秀ですが、生産に大変な手間が掛かるので、値段も石灰石から作られた消石灰とは比べようもないほど高価な代物です。
後継者不足にも悩まされているみたいなので、数年後はもっとレアな材料となるかもしれません。


次にスサの説明をしますね。

本漆喰に使われる主なスサの原料は 《 マニラ、サイザル、ジュート、ケナフ 》 という植物の繊維です。
他にも 大麻、芋麻、亜麻 などが使われていたみたいですが、現在は “ ほぼ ” 入手不可能であります。

スサも原料にこだわれれば、とても強い漆喰が出来ると思います。
日本全国捜しても強いスサを作っている業者は数少ないですが・・・
安いだけの弱いスサを使えば弱い漆喰壁になりますので、工務店や建築会社は単価を抑えるのではなく、本当の意味で良い壁を作る為にも考えていただきたいです。


次は海藻糊の説明です。
漆喰に混入する海藻糊は大きく分けて 《 角叉 、 銀杏草 、 布海苔 》 の三種類です。

私の地方では主に角叉と銀杏草が多く出回っており、布海苔は滅多にお目に掛かれません。
関西のほうだと布海苔が多いと聞きました。
海藻糊に関しては地域性があるのでしょうね。

左官材料として使うには熟成も必要で、角叉や布海苔は一年、銀杏草は三年の間、倉庫で保管すれば腐食発酵して繊維が破れ、糊の成分が出やすくなる との事であります。

この海藻糊を 加熱処理した後、乾燥させて粉砕処理した物 が 《粉末海藻糊》 であります。
便利な製品ではありますが、どうしても本物の炊き糊にはかないません。
現在、この 《粉末海藻糊》 は粗悪品(ケミカルを多く混入した物)が数多く出回っておりますが、なかには良い製品もあるので扱う場合は良く見極めてから使っていきたいですね。

海藻糊の代わりにメチルセルロース(メト◎ーズ等)を使う人もいると聞きますが、 “ 化学のり ” ですから、これを使う時点で自然素材ではなくなってしまいます のでご注意を・・・

本漆喰 と 既調合の漆喰製品 とでは強度がまるで違います。
あまり単価、単価と言わずに長い目で見れば、施工単価が 少々高くてもそれだけの付加価値が 【 本漆喰 】 にある と思いますよ。

001


002


003


004

005


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.11.05

住宅と蔵

大型住宅の左官工事を施工したらお施主様に気に入っていただき、ついでに隣の蔵まで漆喰で内部、外部とも塗らせてもらいました。

002


003


005


001


006


007


住宅と蔵を合わせると600平米以上は漆喰を塗ったことでしょう。
全ての職人に漆喰鏝の品川モデルで最終仕上げを統一させました。
お陰で肌も揃って良い感じです。 pass

住宅の擁壁は RC打ち放しの木目模様 で、綺麗に打てなかった部分もあったので、特殊な材料secretを使って木目を絵筆で書いて仕上げました。
こちらも完璧と言って良いほどの出来映えで、補修した本人ですら何処を直したのか分からなくなっているほどです。good

他にも蔵の立ち上がりを 大磯の洗い出し で仕上げたり、犬走を 錆石の洗い出し で仕上げたり、モルタルの掻き落とし 等も施工しました。
8ヶ月掛かりましたが、ようやく完成して感慨深いモノがあります。shine

また面白い仕事があれば挑戦していきたいですね。 rock

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.06

ニセモノ

最近、ニセモノの漆喰(もどき)を良く目にする。

こここで言うニセモノとは、訳の分からないメーカーが出している工業製品を指します。

反対に “本物の漆喰” とは、石灰と麻スサ、海藻糊で調合したものであり、左官屋が自信を持って勧める事の出来る材料だと思います。
自己調合で海藻糊を炊いて作る “炊き糊漆喰” は勿論、本物の漆喰です。
“炊き糊漆喰” をやられている本物志向の左官屋さんは今や珍しい存在かもしれませんが・・・

つい最近も材料を支給するので漆喰を塗ってほしいと依頼があったので見に行ったら、ネット通販で手に入れた 漆喰とは名ばかりだけのニセモノ が置いてありました。

たしかに樹脂の多く入ったニセモノは素人でも塗れるほど簡単な材料だ。
平ボートにも一発で塗れる。

ニセモノは作業効率も良い。
ニセモノは鏝で押さえなくても表面強度がある。
ニセモノは手間を掛けなくても、 “それなりに” 綺麗に仕上がる。
ニセモノはある程度の技量があれば、失敗する事は滅多にない。
ニセモノは材料の研究をしなくて済むので楽だ。
ニセモノはクラックの心配も “本物の漆喰よりは” はるかに少ない。

だけど、それで良いのか?

工業製品化をして誰でも塗れるようにするのは良いとしても、その為に体に悪い物を添加するのは本末転倒ではないだろうか。
漆喰にする意味は???
クロスの壁が主流の時代からようやく塗り壁の良さが見直されつつある今、このような事で良いのだろうか?

白のペンキ系塗り壁材料(○ョリパッ○)を漆喰だと思っている人達も多いと聞きます。
見た目が白ければみんな一緒だと思っているのでしょうか・・・
だから、内壁にもこのような材料を指定してくるのかもしれません。
本来はリラックスできる空間のはずが、健康を阻害する空間となっている可能性も否めません。

とりあえず、この依頼はお断りさせていただきました。
しかし、他の左官屋が依頼を受ける事になるでしょう。

塗り壁が見直されつつある今、本当の意味で “塗り壁の良さ” を建築に携わる人間(施主、設計士、建築会社、工務店、左官屋)に勉強してもらいたいと思います。

そして私自身はそれを伝えられる左官屋でありたいと思っております。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.06.28

海鼠壁

修善寺にあった海鼠壁(なまこ壁、ナマコ壁)です。

Yagyuu273


Yagyuu274


Yagyuu276


Yagyuu277


柳生の庄 のすぐ近くに海鼠壁があったので見学していきました。
伊豆半島には多くの海鼠壁が残っているらしいです。

時間を作って見に行かねば・・・ dash

| | コメント (2) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧